7月になった。秘密保護法につづいて、こんどは集団的自衛権の閣議決定を今日するという。いやな時代になりそうだ。きょうは一日、国会周辺、官邸前の抗議行動に参加しよう。
さて、4~6月に読んだ本を忘れないうちにメモしておこう。
石川達三『蒼氓』 ブラジル移民のはなし。昭和10年の第一回芥川賞を太宰治や高見順をおさえて、『蒼氓』が受賞した。石川達三はわかいころ、勤評闘争あつかった『人間の壁』を読んだことを覚えている。あとは南京攻略部隊の『生きている兵隊』中国人虐殺のリアルな描写がある。『金環食』『傷だらけの山河』は映画で見た。読んだことないが『青春の蹉跌』とか『結婚の生態』『四十八才の抵抗』とかこの著者は実にネーミングがうまい。
念願のショーホロフ『静かなドン』は長い長い大河小説なので読んだり中断したり、まだ三分の一くらいか。無理して読むことないなあ…なんて思いながら寝床でだらだらと読んでいるが何故が投げ出しかねる魅力がある。
知り合いの山形県人から藤沢周平の作品風景を訪ねる旅に行こうとさそわれた。先年、鶴岡の藤沢周平記念館に行ったことを思い出した。すすめられて『又蔵の火』『春秋山伏記』『海鳴り』を読んだ。『海鳴り』は老境にかかった商人のはなしで商売の苦労、家族とのぎくしゃくなどけっこう身につまされる。
清張は『十万分の一の偶然』『死の発送』『時間の習俗』『屈折回路』いずれおとらぬ面白さ。清張ワールド。たいして村上春樹は一冊も読んだことない。どうも食指がうごかない。むろん食わず嫌いであろう。逸徳さんは春樹ワールドがどうしたこうしたと去年柳生さんの弟の美深にいったときにしきりにいっていたが…。猫跨ぎさんに紹介された小澤征爾と村上春樹の音楽対談はなんとか読んだがあまり記憶に残らない。
清張だが『犯罪広告』『歯止め』『微笑の儀式』『生けるパスカル』『骨壺の風景』など「黒の様式」の短編集などはあっというまに読める。わたしは『理外の理』がみょうに印象に残ったが、女房は『金のかかりすぎた縁談』がおもしろかったといっていた。ふーん。読むのは二回目だが、出世作『西郷札』『ある小倉日記伝』はやはり傑作だと思う。西郷札はテレビにもなった。たしか前田吟、
大岡昇平『長い旅』
津村節子『紅梅』
シュリーマン『古代への情熱』
作者の名前は忘れたが『ベルリン陥落1945』
ローレンスなんとかの『宇宙誕生の前には何があったか』は勢いこんで読み始めたがすこし読んで投げ出した。翻訳がよくないと思った。妙にひねった文章。村山斉『宇宙になぜ我々は存在するのか』のほうがずっとわかりやすい。
いちばん感動したのは茨木のり子『歌のこころに生きたひとびと――与謝野晶子・高村光太郎・山之口貘・金子光晴』かもしれない。
みた映画は『ミツバチの大地』『世界最果ての通学路』
むかし読んだ吉村昭『落日の宴 勘定奉行川路聖謨』のなかに、プチャーチン提督のディアナ号が難破し、伊豆の戸田で新造船してロシアに送り返す話がでてくる。戸田(へだ)の港の突端につきだした松林のなかの古い記念館(深海生物博物館といっしょになっている)を6月はじめに訪ねたのも有意義であった。かつてロシア大使も訪れて日露友好の博物館になっている。戸田は日本の西洋式造船技術発祥の地なのである。
千葉の御宿海岸にも難破したメキシコ商船を地元漁民が救済した記念碑がたっている。
たしか和歌山にもオスマントルコの軍艦が熊野灘で難波したときに漁民が命がけで海に飛び込んで乗員を助けた記念碑がたっていたと思う。
日本庶民の美質がでている。
アメリカの戦争に自衛隊をだして闘わせるという安倍首相式のやりかたでは日本人はこれから海外旅行でも思わぬ危難に遭うことがあるのではないか。ばかのことをする首相だ。得意満面の貌もどんどん下劣になってきたように思うが。
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いま読み出したのが林芙美子『放浪記』 観たことないが森光子の芝居で有名だが原作の味はまた別。桜島にいったら芙美子の銅像がたっていたな。
あとは『物語 史記』(山崎純一訳編)も。史記のなかの一番しられた話は李陵。中島敦『李陵』は傑作なので未読のかたにはぜひすすめたい。(中勘助『銀の匙』とかよかったなあ)
司馬遼太郎のペンネームは司馬遷にはるかに遠いという意味だそうだ。
古事記も日本書紀も現代語訳でごく安直にすませることにした。
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