タイでクーデターだという。立憲制になってから19回目のクーデターとか。このところ国情が安定せず、反政府デモ、総選挙だ、ボイコットだと果てしもない。国軍が仲立ちをして、政府側、反政府側代表がテーブルにつき自説を述べあって、埒が明かない。そのさなか軍代表が「はい、そこまで」と制止し、「権力を掌握する」と宣言し、たちまち両代表は拘束されたという。そして直ちに戒厳令の布告。国中大騒ぎになるかとおもいきや、意外に平静で、街中の座り込みは、三々五々撤去を始めた。全くの無血クーデターだ。これも異様なら、ちょっと前、タイ憲法裁判所が首相に倫理を欠いた行為があったとし違憲で失職を宣告した。首相はさしたる抵抗もせず辞職した。
なにか、別世界の出来事に見える。まず、軍のクーデターだが、実力行使と言ってしまえばそれまでだが、この超権力的行為を、タイではだれも不思議に思わないらしい。軍にこんな権威を与えたのは誰だ?
憲法裁判所もそうだ。日本で言えば最高裁が総理大臣に、あんたクビ、というようなもの。一体誰がこの裁判官たちに、スーパーパワーを与えたのか。
日本では国権の最高機関は国会で、第一党の政党が行政権を掌握するが、常に国会が上位にあるという意識は揺るがない。私はそれが常識だと思っているが、タイはそうで無いらしい。王政を引いている。どうも、軍も裁判所も国王の意を体しているということを何となく諒解しあう空気があるように思う。
権力の淵源を辿ると、いつも不思議な感じがする。中国もそうだ。一般国民にとって周近平とは誰か。一私党である中国共産党の党首であるに過ぎない。それが、プロレタリア独裁というレトリックで、絶対的な権力を握っている。それにかりそめにも疑問を抱くことなど決して許さない。
我々は西欧型民主主義が正しいと思いそれに従っているが、周りを眺めると決して多数ではない。
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