NHKらじるらじるでワーグナーを聴きながら猫跨ぎさんの句を読む。また楽しからずや。
・東京の秋のスペイン坂下る・・・スペイン坂がどこにあったのかすっかり忘れてしまった。
・ぽつぺんのぺこぺこと秋惜しみけり・・・ぽつぺんもなんとなく思い出せない単語になってしまった。
・重砲兵第四連隊跡みぞれ・・・高校が青山連隊跡の建物を校舎に使っていた。下士官室が部室になっていて部活を楽しんだ。句は連隊跡の侘しさをみぞれで言い表して妙。佳作。
・秋風や万太郎碑の小さき文字・・・久保田万太郎は下町の粋人。美味しい食べ物を紹介してくれている。
・閉業のつづく木犀匂ふ街・・・閉業と聞くと東京と地方都市の格差を思い知らされる。
・下駄箱の中の釘箱冬構・・・箱の中に箱を置いているのが面白い構図だ。どこの家でもありそうな情景を上手く捉えているね。準特選
・地下室の思はぬ広さ冬に入る・・・地下室を持つほどの大きな家には住んでいないがそれでも中七の面白さは格別だ。季語の選択がこれまたいいね。特選。
・絵屏風を畳んで運ぶだけの役・・・どこの劇団でも黒子的存在は重要だ。いや大掃除で大切な屏風だけを運んで後は知らぬと逃げたのかな。想像が膨らむ。準特選。
・頬杖の真中に秋の虚空かな・・・何か情緒過ぎていて好みに合わなかった。
・幾たびも熊撃つ話今年酒・・・だいぶ酔っ払っているのかくどさが滑稽。佳作。
書いている内に放送は邦楽に変わっている。三味線の音はしっとりとして又心を落ち着かせてくれる。ながら族の楽しみ。12月の十句そっと出す。
・冬支度豆粒ほどの火種から
・小咄の火鉢一つに集めけり
・革ジャンと鍵ジャラジャラと車椅子
・月冴ゆる欠けた英字のビスケット
・行き着ひた防空壕跡雪しまき
・新雪の中に小銭を落しけり
・テロメアの長さ測りて冬の空
・太陽に彗星呑まれ賀状書く
・自転する星に生れて雪だるま
・四十ワット突然切れて大晦日
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