2013年6月21日金曜日

いろいろと・・・・逸徳

じんちゃんの作品拝見。 なんだか、現状にいきづまり旅に出てみたくなっていたところに、作品を見て、もっと旅ごころを誘われた。 いいなあ。 じんちゃんの作品の好きなところは、その光景がくっきりと目に浮かぶところだ。すきというより波長があった作品を。
・ 梅雨真中フェリーで渡る養蜂家・・・ミツバチがどんどん死んでいるらしいね。どっかいい環境でいきてくれ、ミツバチクン。
・ 木陰から食み出た梅雨のずる休み・・・・言葉の面白さ。そこからよけいにイメージがひろがる。ずる休みにはまいった。
・ 左搓り結き直して三社祭・・・これは解説があってはじめてわかった。だが、解説があってもっと面白くなった。 左搓りが最初わからず、いなせな兄さんの ねじり鉢巻きを想像してしまった。しかし、目のつけどころがいいね。
・ 青蛙赤房下へ寄倒し・・・・天然色の鳥獣戯画をすぐ連想
・ 遠郭公出発前の二番線・・・・ 旅立ち直前の心の鋭敏さ。ああこういう光景には何度かであっている。既視感がある。独身のころひとり日高線に乗った旅を思い出した。あれはどこに行くときだったか。なんだかあれからずっと旅している気分 
・ 一本の割箸ずるり心太・・・・そりゃ食べにくいだろうなあ。
・ 蛇の目蝶じゃれあってをり額の花・・・・・ああ無邪気にじゃれたいねえ。誰に?いや誰でもいい。 なんだか置いてきた光景を見ているようだ。

で褌子氏のコメント  いいねえ。 まっすくな若い精神と誠実に対話できることは、実は年寄には稀有の体験であり、なんだか、心が洗濯できる。で、褌子氏にひかれてまけずにひとつ本の紹介を。 こちらの9条の会の通信にのせた駄文です。ひさしぶりにいい本だと思いました。おすすめ。

・・・・・・・今まで、この連載では、9条に関する参考図書や、平和を考える文学作品などについてご紹介してきましたが、今回は、すこし違った角度からの紹介です。作品は、直木賞作家重松清「希望の地図―3.11から始まる物語」(幻冬舎)です。青少年に向けてかかれていますが、どっしりと大地に足をつけて、未来と希望を語らなくてはいけない大人のひとたちにこそぜひ読んでほしいと思います。3.11以後にうまれた、もっとも良質な文学作品のひとつでしょう。ながく読み継がれる作品になるのではないでしょうか。

 重松清さんは大震災以後活発な活動をしてきた作家のひとりです。彼は単に遠くにいて憂うるのではなく、現場で見、聞き、触れるという活動をしてきました。本作はそのひとつの過程として生まれてきた物語といえます。主人公は中学受験に失敗し、不登校となった少年光司。彼を東日本大震災の現場へと連れ出すのは、光司の父親の友人であるルポライターの田村。( これは重松さんのもうひとつのペンネームです) 光司の存在はフィクションですが、ふたりが現地で出会う人たちはすべて実在の人物であり、岩手、宮城、福島3県の被災地の“今”を訪ね、復興に取り組む人々にインタビューを重ねていき、その人たちの言葉と、ほんとうにあったエピソードが続きます。
 
大人たちの「震災でたいへんな目に遭っても必死にがんばっている人たち」を見れば不登校の少年も再び学校に通い出すのでは、という目論みで旅は始まります。読んでいる側も、またいつもの重松ワールドか、と思ってしまう書き出しです。
 しかし、被災地で精いっぱい生きる人たちの姿に、光司とともに出合うたびに、これは確かに重松ワールドではあるけれど、もっとスケールの大きな、強いメッセージが込められた物語ということに気づかされます。

 この物語にはたびたび「希望」とは何かということが問われています。 登場人物たちが語ります。
 例えば、「生き残ったことには、やっぱりなにかがあると思うんです。だから、とにかく生きよう、生きていこう、というのが『希望』なのかもしれませんね」(第一章)、「夢は無意識のうちに持つものだけど、希望は、厳しい状況の中で、苦しみながらも持つものなんですよ」(第二章)、「僕の考える希望の最も根源的な定義は「生き延びるための底力」-それ以外にはないのだから」(第二章)、といったように。

 しかし、おそらく重松さんはその答えを本作を読んでいる読者それぞれにゆだねているような気がします。
 それぞれに「希望」があるように、実際は「希望」の定義もそれぞれかもしれません。そんなそれぞれの「希望」をつないだところに、明日が生まれるような気がします。東日本大震災は悲しい出来事であることは間違いない事実です。その事実の先にあるものをしっかり見つめていかなければ、「希望」は生まれてこないでしょう。
 不登校であった光司は被災された人々から多くのことを学びました。そして、ゆっくりではありますが、歩き始めます。
 「希望」とは歩きはじめるための、光のみちすじではないでしょうか。
 この物語もまた、そんな光のみちすじです。

心にのこったことばのいくつかを作品の中から・・・
・・・ぼくらは、世界に対して無力さを感じることに負けてはいけない
・・・がんばれる人だけが、がんばってください。無理のできない人は無理する必要はありません。
・・・風景が変わる悲しさもあれば、風景が変わらない悲しさだってあるんだ。
(山内一徳)

0 件のコメント:

コメントを投稿