アフガンでの米軍の無人機攻撃ではすでに大勢の犠牲者がでているという。
千葉市立美術館に、ルオー展(ジョルジュ・ルオー1871~1958)を見に行った。太い絵筆による宝石のような色彩の絵の数々に暖かい気持ちになった。
底辺の貧しい人々をたくさん描いている。そして瞑想するイエス・キリストの何ともいえないほどやさしい慈愛にみちた顔を何枚も。「祈りの画家ルオー」と言われる所以。
ヨーロッパ人とキリスト教・・・。そしてつい考えてしまう。
正義と慈愛、隣人愛と贖罪を説くキリスト教世界に生きるヨーロッパ人の、ホロコーストにまで至るあの苛烈無比の反ユダヤ感情はどこからきたのか。
以下は内田樹先生の著作からの引用であるが非常にわかりやすかった。
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反ユダヤ的な感情はヨーロッパ世界においてはごく自然なものでした。それはキリスト教がユダヤ教から「分派」した宗教として登場してきたから当然のことです。どのような宗派も政治党派も、「分派するだけの必然性があった」ことを主張するためには、彼らがもともと属していた「母胎」が腐りきっていて、使い物にならないものであることを主張しなければなりません。(中略)
やがて中世に至って、ヨーロッパ全土がキリスト教化された結果、反ユダヤ感情はヨーロッパ人の宗教感情の「基準」になりました。そして何かキリスト教世界の結束を固める必要が出てくるごとに、(ペストなどの疫病や戦争のたびに)「いけにえ」としてユダヤ人を組織的に迫害することが行われたのでした。
過去2000年にわたるユダヤ人迫害の歴史はほんとうに紹介するのが気の毒になるほどです。ただ、そういう反ユダヤ的な行動はきわめて感情的なもので、「思想」というほど体系的なもので基礎づけられていたわけではありません。どうしてこれほどユダヤ人が憎いのか、反ユダヤ的行動をしている当人も説明できなかった。(ここんところは在日朝鮮人に対するヘイトスピーチを想起する)
政治思想としての近代反ユダヤ主義はその憎しみを「説明」する理論です。19世紀の末に登場しました。.政治思想として反ユダヤ主義が定式化したということは、これから先、人々は「憎しみ」の支援抜きに、知性的に、事務的に、効率的にユダヤ人を殺すことが可能になったということを意味します。その近代反ユダヤ主義の最大の「成果」がナチスによる「ホロコースト」です。
(アメリカ軍は、イスラム教徒でない西欧人に対しても無人機やロボット兵器をつかうことができるのだろうか? 原爆投下も)
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