2013年5月19日日曜日

五月猫跨ぎ句を鑑賞・・・褌子

・観音に弛緩のすこし花馬酔木
観世音菩薩さまのお仕事は、悩み多きすべての衆生救済であるから、きりりと引き締まった厳しいお顔でなく、すこし抜けた優しさあふれる顔でなくてはならない。向源寺の十一面観世音菩薩も古拙の微笑をたたえ、国兼さんを悩殺するS字カーブを描いたお腰であった。こんなことどもを「弛緩のすこし」と喝破したのは見事と言うしかない。馬酔木の壺状にたくさん下垂する小白花は観音様の「弛緩」にあう。超特選級。
・天平の微熱ほのかに袋角
そうか、あの再生中の角を袋角というんだね。夏の季語なのか。俳句は深いなあ。シベールの日曜日の微熱、天平の微熱、いろいろあるなあ。特選。
・拝殿の奥のもの見え春夕焼
夕闇迫る頃の拝殿の奥の方… むかし多武峰の談山神社でちょっと怪異な不思議な経験をした。あれは秋の夕暮れであったが。
・春雨や休診つづく外科医院
春愁。外科は疲れるからなあ。老先生も内科だったらまだまだ
・ピザに振るタバスコ赤すぎる遅日
  日脚伸ぶの季節になったが
・口中の飴割れ四月終りけり
こういうふうに時間は過ぎ年老いてゆくのか・・・
・春愁や会津八一の碑をなぞり
   会津八一は新潟のひとで新潟市に記念館がある。こんど郷里に帰るときに行きたいと思っている。大漢和の諸橋轍次博士の記念館も新潟にある。春愁というといつも思い出してしまうのは能村登四郎の「春ひとり槍投げて槍に歩み寄る」
・フランスパンの袋長すぎ薄暑かな
  面白い。あの袋は長い。夫婦げんかはあれでやれば痛いが怪我はしないね。
・この狒狒(ひひ)も東京生まれ夏来たる
狒狒爺さんのことではなさそうだ。上野動物園のことかも。
・火星移住計画ふはりしゃぼん玉
いずれ太陽の超新星爆発で地球はのみ込まれる。火星もだめなのでは。人類の寿命もシャボン玉のようにはかない。

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