・ ふらここや一往復にある記憶
ひとは事故などで落下する瞬間に生きてきた一生が脳裏をかけめぐるという。
ふらここの一往復だからせいぜい数秒だが、あの浮揚感が忘却のかなたにあったあれやこれやをふと思いおこさせるのである。いきなり特選。
ブランコを鞦韆といい、ふらここといい、春の季語であることを知ったのも俳句にふれたおかげ。三橋鷹女の、鞦韆は漕ぐべし愛は奪うべしは強烈だった。三橋鷹女は成田山の門前町に生家がある。
・ 花冷や猫背で作る砂利の音
なんとなく情景がうかぶ
・ 誉め言葉一つも無しに春の往く
春のアンニュイというか倦怠、退屈、屈託
・ SLや三歳の春総身に・兄六つ弟いつつ苺かな・泣き笑ひ出来て嬰児風光る
可愛いねえ。赤ちゃんが心底可愛いと思う年にこっちもなった。自分の娘よりずっと若いお母さんがしっかり乳児を抱いているのをみると、がんばれと応援したくなる。
・ 青き踏む問わず語りの岬かな
問わず語り は源氏物語にもでてくる美しい日本語。英語などにない表現ではないか。
古希をむかえた老夫婦のきままな散策の情景か。岬で物語性がでてきたので倦怠期のシニア世代の旅行かも。
青き踏むが踏青、野遊び。鞦韆とおなじく中国由来の季語だと知った。
いっぽう 青鞜=bluestockingは平塚らいてうらが婦人解放をとなえた雑誌の名。
・ アスパラの曲った先から五月晴
面白いシュールレアリスム的感性
・ 緞帳の下りた連獅子リラの花
緞帳、連獅子、リラで短編小説が。シベールの日曜日の青春。壮年の連獅子。
・ 釉薬の艶の絡みて新茶くむ
いい焼き物だ。艶の絡みと新茶の対比鮮やか。これも特選である。
新茶は夏の季語なんですね。函館も冬は脱したようだ。
仁ちゃん 先日、桑園寮でいっしょだった明神さん(北教大釧路分校の先生)と向山君と飲みました。桑園寮時代の思い出話に花が咲きました。
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