クアラルンプールから飛行機で1時間半、ボルネオ島のキナバルに着く。大きな港まち。
片道2時間も車に乗ってテングザルをみに出かけた。どんよりと濁った川を船で動き回って樹上の猿をみるだけ。夜になってホタル見物に再度、船に乗る。たくさんのホタルが同期して明滅しているのが不思議。暗いので星はきれいだが、どれが南十字星かわからない。往復4時間もあるのでガイドの青年とはすっかり仲良くなった。バジョウ族の陽気な男でムル族は首狩り族だからネックカッティングに注意しろと首を包丁で切り落とすしぐさでしきりにおどかす。
■ 明け方、火災報知器の音でたたき起こされた。ドア開けたら何か煙がたちこめていて臭い。すわとズボンと靴はいて外に飛び出した。他の客もどんどん飛び出してくるのに、従業員が知らん顔。フロントの女性に抗議すると、月一回のゴキブリ退治の燻蒸です。防煙扉を閉め忘れてバルサンに火をつけてしまい、ごめんなさいとニコニコしている。
■ 車でキナバル山へ向かう。猛烈なスコールで山がみえるのか心配になったがバジョウ君は大丈夫ですという。二千メートルもの高地の展望台にたどり着いたら正面の雲の上にキナバルがそびえている。東南アジア最高峰の4095メートル。台湾の玉山(ニイタカ山)が3952、富士山3776メートル。毎年5ミリずつ高くなって造山運動中の地質学的には若い山。頂上の七つのピークがくっきりとみえる。頂上直下の大岸壁に氷がはりついて陽光を反射。富士山のような整った優美さはまったくない荒々しい男性的山容。30分くらいでまた雲に隠れてしまった。数万年前の休火山という。ボルネオは活火山がなくて地震も津波もない。火山がないので窒素リン酸カリといった肥料が供給されない意外とやせた土地だと信州大学の先生にきいたことがある。有り余る陽光による光合成と年間400ミリもの降雨量でびっしりと植物が繁茂しているが、土壌はやせているというのである。焼き畑農業は灰が土壌に還元されるが日本などがボルネオ産の材木をもちだしたあとの復元はむつかしい。いま一番の大問題はパーム油をとるために熱帯雨林を切り開いてつくった椰子林のモノカルチュア。パーム油は非常に需要があるのでモノカルチュアはとまりそうもない。
バジョウ君が石油・パーム油・観光の順でボルネオはなり立っているという。戦後、マレーシア連邦としてイギリスから独立するときに、石油が豊富なブルネイが連邦に参加しなかった。またボルネオの南側のカリマンタンはオランダ領だったのでインドネシアに編入された。ブルネイはみんなスリーピングして暮らしているとバンジョウ君がうらやましそうな顔をした。
帰り道に樹液をとっているゴムの木をみた。南米原産であったが、イギリス人が種子をもちだし王立キュー植物園で栽培に成功し、マレー半島でのゴム栽培をはじめた。
世界最大の食虫植物ラフレシアの巨大な花もみた。花のあやしい匂いに引き寄せられて昆虫が群がっていた。
■ ボルネオも三日目となった。もう二度とくることは無いだろうとつい余計なことを思うのは年のせいか。
少数民族の村を訪ねた。ボルネオ島の代表的な五つの少数民族の生活を観光化してみせている。
たしかに首狩り族だったムル族の家の玄関にはすっかり干からびた人の頭が五個つりさげてあった。
韓国、台湾、中国、香港などの観光客10数人といっしょに歩いて森の中でみんなで昼食を仲良く食べた。みんな似たような顔で区別がつかない。尖閣だ、竹島だと領土争いすることがくだらないことだと思った。
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