2012年4月17日火曜日

猫というものは・・・猫跨ぎ

猫については後半かなり濃密に観察する機会があった。猫には行動パターンがあってそれをなぞるところがある。寒冷期には二階の私の布団の上、及び中が定位置。体力が弱ってからは一階に小さな寝床を作ってやり、そこにおとなしく起居するようになった。
死期間近のころである。呼ぶと必ずこちらを向き、ひと声鳴いていたのが、全く反応しなくなった。手を近づけると必ず舐めたのも反応無し。すっかり「人」が変わってしまった。
死ぬ四日前。夜十時頃、布団に入って本を読んでいると、ひょっこり二階へ上がってきた。ぐるりと部屋の中をパトロール。それから布団の私の胸の上に来て私を見おろす。しかし視線は私を見ていない。敢えて言えば私の顔の背後か。撫でてやっても勿論反応なし。いつものように足元に一時香箱を組み、それからゆっくりと下へ降りて行った。これが二階へ来た最後である。下で爪研ぎをしているのが聞こえてきて驚く。重病人がラジオ体操をしているようなものだ。その時、体が覚えている行動パターンをなぞっているなと思った。意識(猫の意識など判らないが)は完全に内向きになって、私との関係性は皆無になっていた。

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