・瘠猫の鼻梁ひいでて春深む
写真で拝見すると非常に美人で聡明な猫だね。目もとくっきりと毛並みもじつにいい。私は猫を飼ったことがないのでよくわからないが、作者とは相思相愛であったのだろう。
・桜草の大日時計に猫とあり
猫好きの話をきくと話がとまらない。米原真理も大変な愛猫家であったらしく彼女のエッセイは猫自慢がえんえんと続く。猫は人類とのつきあいも長いなあ。いま愛読している『銃・病原菌・鉄』は人類がペットを友にしてゆく永い歴史を物語っている。
・猫の背に夕日のあたる花の冷え
こんなに美しい毛並みの猫だもの。夕陽が照り映えるつやつやとした猫の背がみえるようだ
・妻知らぬ桜のときに猫逝けり
猫跨ぎ氏の奥様がいちばん愛していた猫だったんだね。
・これよりは花明りとも無明とも
津波で子供を失った母親が朝な夕なに海辺に立ち尽くして泣いているという。
東北にいってもわたしは何もすることができない。語ることばももってない。
みちのく各地をことしもまた桜の開花が北上してゆく。年々歳々変わらぬ自然の営み。人の世の無常にこの句をひそかにつぶやくことにしよう。
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