彼は佐渡の漁村出身だが、現役時代は漁船の船外機を売りに東北の漁港を歩いていたというから牡鹿半島に土地勘があったのである。それでも半年以上も文字通り「入り浸る」とは…。たった三日のボランティアの自分だって一泊二食6500円の民宿に二泊して新幹線や防水カッパ、酒代などで4万円は使っている。
質問すると、彼は半年以上もこちらに持ってきている自分の軽自動車やボランティア用に寄付されたコンテナハウスで寝泊まりして自炊もしているのである。風呂はたまに民宿で500円で入るがヒゲぼうぼう。立川市方面からのボランティアの「受け入れと配布」の仕事で牡鹿半島じゅうをかけまわりながら、手伝っている漁民たちの仮作業所で洗濯もしているのだそうだ。奥さんと娘さんが(心配してか)一度だけ、豚汁作りにやってきたとうれしそうに語っていたから決して家族に見放されているわけでもなさそうだ。
定年退職後にいちど脳梗塞をやっている石見君に、俺たちももう古稀だぜ無理すんなよと石巻駅で別れ際に言ったら「こういうことやっているときがいちばん体調がいいんだ」との応えがかえってきた。
やっぱり等身大で生きている幸せな男なのである。【写真は石巻駅で別れるとき】
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