2012年9月15日土曜日

函館通信187・・・猫跨ぎ句鑑賞・・・仁兵衛

 相変わらず鋭い秀作有難う御座います。何処から評していったら良いのか迷いますね。   
 
 ・終戦忌柳行李に躓けり・・・柳行李も滅多に見なくなったのに更に其れに躓いたと続けば昭和の夢の世界か。終戦でその時間が切れているのが決まっている。 準特選。
 ・逝く夏や陸橋の下がらんどう ・・・陸橋の下のイメージが私の中ではばらばらでまとまらない。
 ・この風の名前知りたし秋夕焼 ・・・風の名前は熱風ではないのかな。
 ・東洲斎写楽の寄り目葡萄酸し・・・写楽の寄り目と葡萄の酸っぱさを並べるてその滑稽さを楽しめる句だ。
 ・芒原へ猫振り返り振り返り・・・猫振り返りは作者が振り返っているのか猫が振り返るのか両方取れそうだがやはり前者だろう。猫を芒原に埋めて供養は出来ましたか。
 ・蛸のぶつ切り人類は斯く生きて来し ・・・蛸の生を食べるのは限られた人種のようだ。だからこそ生きて来た強さを持てたのかもしれない。取合せが極めて素晴らしく感じた。特選。
 ・花火果て上弦月の下帰る ・・・花火も月も上に輝いた。ゆっくり感がすらりと出た句だ。
 ・落蝉を掃き寄せ夏の煮崩れる ・・・掃き寄せるほどの数の蝉がいたのかな。夏が煮崩れるの表現に引かれた。
 ・蜩の美(は)しき極みの笑ひかな ・・・中七の表現に脱帽。蜩の声が笑いにまで昇華されている。準特選。
 ・十六夜や森の蜂の巣太りをり ・・・十六夜と蜂の巣の取合せ妙なり。


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