今日、二講座六期生の金城 徳幸君の訃報あり。
長く療養中と聞いていたが、急変したのだろうか。
凝った版画の年賀状は今年もいつものようにもらい、穏やかな療養生活と
ばかり思っていたのに。残念。
合掌。
2013年2月28日木曜日
少子化・・・猫跨ぎ
少子化は中国は国策で強行したが(独裁国家だから出来ること。怖ろしい)、日本は国民が自発的にやった。結果は同じで、少子高齢の社会が否応なしに出現する。子供たちの「不誠実で、悲観的で、競争意欲が希薄で、リスクを回避し、人への信頼感が薄い」とかいうのは、要するに仲間で揉まれて成人する機会が希薄であるからだろう。韓国も全く同じことが言われている。要するに、農村社会の崩壊と都市化、核家族化なんかが平行に起こっている大きな社会現象の一環でもあるからなあ。
ただ日本はちょっと違うような気がする。もともと独立心がそれほど強くなくて、周りを気にする文化にどっぷり浸かっているから、一時そういう危惧はあったけれど、最近の傾向を見るとそうでもないと思う。
包丁、まな板、タライ、洗濯板か。これはどうかね。特に後者は我々の母親世代まで。我々はもはや全く使いこなせない。出来ないことを押しつけてはいけません。
国兼氏は四人、褌子氏は三人か。頑張ったんだね。
ただ日本はちょっと違うような気がする。もともと独立心がそれほど強くなくて、周りを気にする文化にどっぷり浸かっているから、一時そういう危惧はあったけれど、最近の傾向を見るとそうでもないと思う。
包丁、まな板、タライ、洗濯板か。これはどうかね。特に後者は我々の母親世代まで。我々はもはや全く使いこなせない。出来ないことを押しつけてはいけません。
国兼氏は四人、褌子氏は三人か。頑張ったんだね。
一人っ子政策・・・褌子
国兼さん。こんにちは。ちっとも登場しないので心配しておりました。
映画ラストエンペラーかとおもったらリトルエンペラー小皇帝の話ですか。
中国の一人っ子政策はけっこう抜け穴があるらしく、私の知り合いの青年たちは三人とも二人兄弟です。しかし漢民族の繁殖力はすごいので一人っ子政策などという馬鹿なことをやった気持ちがわからないでもない。反動で中国はものすごい高齢化社会がくるのだそうだ。
先日読んだ『サンダカン八番娼館』には、からゆきさんたちの証言として、現地のボルネオ人男性はさっぱりしていて用事がすんだらすぐ帰る、イギリス人もあっさりしていて金払いがよい。フランス人はかなりしつっこいがやさしい、日本人は日系娼婦を馬鹿にしていていやらしい。いっぽう中国人、台湾人が大変熱心で何度もがんばるので割増料金請求でもめるとか。
国兼さんは美しくやさしい奥様と四人もお子さんおこしらえになったので中国だったらたぶん宮刑だね。わたしは三人こしらえてしまい税金余計に払って青竹ぺんぺんくらいですみそう。
旧中国では科挙に挑戦する極貧の神童が将来紫禁城の宦官になることを夢見て自分でちょんぎる場面が浅田次郎『蒼穹の昴』にでてくる。
映画ラストエンペラーかとおもったらリトルエンペラー小皇帝の話ですか。
中国の一人っ子政策はけっこう抜け穴があるらしく、私の知り合いの青年たちは三人とも二人兄弟です。しかし漢民族の繁殖力はすごいので一人っ子政策などという馬鹿なことをやった気持ちがわからないでもない。反動で中国はものすごい高齢化社会がくるのだそうだ。
先日読んだ『サンダカン八番娼館』には、からゆきさんたちの証言として、現地のボルネオ人男性はさっぱりしていて用事がすんだらすぐ帰る、イギリス人もあっさりしていて金払いがよい。フランス人はかなりしつっこいがやさしい、日本人は日系娼婦を馬鹿にしていていやらしい。いっぽう中国人、台湾人が大変熱心で何度もがんばるので割増料金請求でもめるとか。
国兼さんは美しくやさしい奥様と四人もお子さんおこしらえになったので中国だったらたぶん宮刑だね。わたしは三人こしらえてしまい税金余計に払って青竹ぺんぺんくらいですみそう。
旧中国では科挙に挑戦する極貧の神童が将来紫禁城の宦官になることを夢見て自分でちょんぎる場面が浅田次郎『蒼穹の昴』にでてくる。
Little Emperors・・・国兼
庭の梅もほころび始め、春が来たなと感じる。今日はポカポカと爽やかである。その後の実直なる私生活により脳梗塞の後遺症も薄らぎ、「生きているのか?」という褌子さんたちに余計な心配をかけてはと…。また、書き始めよう。
数日前の新聞に中国で悪名高い「一人っ子政策」の見直しをするという記事が出た。当然といえば当然すぎる。かって、「一人っ子政策」というこの記事を見たとき、増え続ける中国の人口抑制策とはいえ国家が介入するとは・・・と(人口抑制には女子の教育水準を高めるのが最も効果的であることが、世界の人口調査の結果判明している)。それも、違反すると法律違反で罰金を取られ、公表され、重い税負担を負わされてしまう(私のように4人も産んだら野良猫のように強制的に去勢されたことだろう。日本に生まれて良かったなと思う)。
この政策により男の子が増え、女の子だとわかると子堕ししてしまい、今日結婚できない男が増え、また裏社会が暗躍したり、お目こぼしをしてもらうための役人への中国伝統的な賄賂が蔓延しているらしい。庶民の怨嗟の声が出るのももっともな気がする。
先週のサイエンスに中国でこの「一人っ子政策」を決めた1979年以前と以後に生まれた子供たち400人(今では35歳前後)を調べたレポートが報告されている。1979年以降に生まれた子供(Little Emperors:小さな皇帝と呼ばれているらしい)は、それ以前に生まれた子供よりも、不誠実で、悲観的で、競争意欲が希薄で、リスクを回避し、人への信頼感が薄いという。著者たちは、これがこれからの中国社会に大きな亀裂をもたらすだろうと述べている(詳しくはYahooかGoogleで検索キーワードScience AbstractとあるいはScienceで検索すると読むことができる)。
翻って日本の今の少子化の現状を鑑みると、似たようなLittle Emperors集団ではという気がする。日本での政策としては、デパチカとかスーパー、コンビニでの弁当売りを廃止して包丁とまな板を使わせ、独身男女への洗濯機使用を止めて、タライと洗い板を使わせるようにさせて早く結婚させることだ。
数日前の新聞に中国で悪名高い「一人っ子政策」の見直しをするという記事が出た。当然といえば当然すぎる。かって、「一人っ子政策」というこの記事を見たとき、増え続ける中国の人口抑制策とはいえ国家が介入するとは・・・と(人口抑制には女子の教育水準を高めるのが最も効果的であることが、世界の人口調査の結果判明している)。それも、違反すると法律違反で罰金を取られ、公表され、重い税負担を負わされてしまう(私のように4人も産んだら野良猫のように強制的に去勢されたことだろう。日本に生まれて良かったなと思う)。
この政策により男の子が増え、女の子だとわかると子堕ししてしまい、今日結婚できない男が増え、また裏社会が暗躍したり、お目こぼしをしてもらうための役人への中国伝統的な賄賂が蔓延しているらしい。庶民の怨嗟の声が出るのももっともな気がする。
先週のサイエンスに中国でこの「一人っ子政策」を決めた1979年以前と以後に生まれた子供たち400人(今では35歳前後)を調べたレポートが報告されている。1979年以降に生まれた子供(Little Emperors:小さな皇帝と呼ばれているらしい)は、それ以前に生まれた子供よりも、不誠実で、悲観的で、競争意欲が希薄で、リスクを回避し、人への信頼感が薄いという。著者たちは、これがこれからの中国社会に大きな亀裂をもたらすだろうと述べている(詳しくはYahooかGoogleで検索キーワードScience AbstractとあるいはScienceで検索すると読むことができる)。
翻って日本の今の少子化の現状を鑑みると、似たようなLittle Emperors集団ではという気がする。日本での政策としては、デパチカとかスーパー、コンビニでの弁当売りを廃止して包丁とまな板を使わせ、独身男女への洗濯機使用を止めて、タライと洗い板を使わせるようにさせて早く結婚させることだ。
2013年2月27日水曜日
海外観光も・・・猫跨ぎ
エジプトのルクソールでの熱気球事故。怖いね。日本人被害者は奇しくも63歳の夫婦二組。思うに、夫の定年を迎えての慰安旅行だろうか。とんでもない惨事になってしまった。火だるまになって上空から落下だから、恐怖は想像するに余りある。熱気球でこんな事故が今まであったのだろうか。この世に絶対安全といことはない、とはいうものの。
先般のグアムの殺傷事件もそうだ。三年前のこの時期、私もたまたまグアムに行っていた。あの事件現場も知っている。夕食後、ぶらぶらと買い物や散歩。警戒心などゼロ。旅行案内にも何の記載もない。犯人は現地人(チャモロ人)と思うが、言うまでもなく、旅行客が接触するのはホテルや店の従業員のみ。彼等は屈託なく、いつもニコニコだが、勿論観光産業従事者の業務上の顔であろう。観光スポットから離れれば現地人の普通の生活がある。犯人は動機を一切語っていないらしいが、特別の背景もなさそうだ。それにしても南の島の美しい夕焼けとの落差がありすぎて違和感が強い。一見、秋葉原の無差別殺傷事件に酷似している。この激情になにか通底するものがあるのか。
先般のグアムの殺傷事件もそうだ。三年前のこの時期、私もたまたまグアムに行っていた。あの事件現場も知っている。夕食後、ぶらぶらと買い物や散歩。警戒心などゼロ。旅行案内にも何の記載もない。犯人は現地人(チャモロ人)と思うが、言うまでもなく、旅行客が接触するのはホテルや店の従業員のみ。彼等は屈託なく、いつもニコニコだが、勿論観光産業従事者の業務上の顔であろう。観光スポットから離れれば現地人の普通の生活がある。犯人は動機を一切語っていないらしいが、特別の背景もなさそうだ。それにしても南の島の美しい夕焼けとの落差がありすぎて違和感が強い。一見、秋葉原の無差別殺傷事件に酷似している。この激情になにか通底するものがあるのか。
2013年2月26日火曜日
邯鄲の夢・・・褌子
夢の話はいいはなしだね。くじ引きで100万円か。被災地に寄付したい。しかし100万円はちょっと話がちいさい。邯鄲の夢といきたい。
実はいまXXの全くないポンプを発明したおじさんの相談にのっているんだ。世界中で流体革命が起きてその経済効果たるや数百兆円。今度の4月12日のほろほろ会の花見でも相談したい。
実はいまXXの全くないポンプを発明したおじさんの相談にのっているんだ。世界中で流体革命が起きてその経済効果たるや数百兆円。今度の4月12日のほろほろ会の花見でも相談したい。
珍なる夢・・・猫跨ぎ
一昨日だったか実に奇妙な夢をみた。褌子氏が籤引きで百万円を当てたというのだ。ニコニコえびす顔で札束の入ったぶ厚い茶封筒を見せてくれた。前後の情況はみな忘れてしまったが、なにか祭のさなかにいるらしかった。恵まれない人々に寄付するとは言っていなかったなあ。実に珍なる夢だった。
逸徳氏の自炊の話だが、たしかに一人前というのは難しい。大体2~3人前出来てしまう。それを酒飲みながら全部平らげてはなあ。メタボ食事の典型だな。残ったら冷蔵庫だね。だから同じものを2,3日食べることになる。手間は省けてよろしいが。そういうことを続けるわけにもいかないので、シンプルな一度に食べきる料理にすべきだね。例えば白菜と豚肉だけの卓上鍋。意外にこれで充分に満足する。
いま、白菜、大根は美味しい。大根の煮付けはもっともシンプルで滋味深い。皮をむいてぶ厚い輪切りにし、両面に切り込みを入れてから下茹で。しかるのちに味つけし煮込む。これだけでもいいが、好みで他の物をいれてもいい。大根の微妙な味わいをたしかめつつ人肌の酒。こういう古希でありたいものだ。(徒然草調)
逸徳氏の自炊の話だが、たしかに一人前というのは難しい。大体2~3人前出来てしまう。それを酒飲みながら全部平らげてはなあ。メタボ食事の典型だな。残ったら冷蔵庫だね。だから同じものを2,3日食べることになる。手間は省けてよろしいが。そういうことを続けるわけにもいかないので、シンプルな一度に食べきる料理にすべきだね。例えば白菜と豚肉だけの卓上鍋。意外にこれで充分に満足する。
いま、白菜、大根は美味しい。大根の煮付けはもっともシンプルで滋味深い。皮をむいてぶ厚い輪切りにし、両面に切り込みを入れてから下茹で。しかるのちに味つけし煮込む。これだけでもいいが、好みで他の物をいれてもいい。大根の微妙な味わいをたしかめつつ人肌の酒。こういう古希でありたいものだ。(徒然草調)
死んでもラッパを・・・褌子
大和男児の逸徳さんはおむつ姿で今わの際まで右手に杯、左手に看護婦さんの手をはなしませんでした。めでたしめでたし。ぼくは右手に資本論、左手にファウスト、惜しまれながら…といきたいね。
おいおい・・・逸徳
永井荷風か、すげーな。 そういうエネルギーがわかない・・・。 寒い。こんなこといっちゃなんだが、静岡は寒さというものをなめてかかっている土地柄なので、暖房のセンスがあまりない。なので、下手すると室内は北海道より寒さを感じてしまう。ちなみにきのうの朝おきたら室内温度4度。
で、名古屋にいる娘がネイルの店をやっているのだが、今回リニュ-アルオープンとかで、ばかにいそがしくなり、しかも旦那がしばらく出張。しょうがないのでうちの奥さんとおばあちゃんが二人で孫の面倒をみにでかけた。その結果、24日から2日までひとりぐらしとなった。それは別にいい。だが困ったことがおきた。すきなものつくって、毎日酒飲んで1週間は正月気分でいくかとよろこんでいたのだが、どうしても料理をつくりすぎてしまう。1人前というのがむつかしいのである。結果として品数をふやすと2人前ぐらいになってしまう。 しかも焼け跡の食糧難時代の飢餓の恐怖感が潜在意識に深くしみこんでいるので、残すことができないのだ。あああ、またふとるなあ。・・・・・誰か飲みにこないかい。 今夜のメニューは豆腐ハンバーグとネギまぐろなべ。 うまいのだこれが。 酒がすすむ。おかげで、褌子さん、頭が重いことも浮遊感もないぜ。このままいってもいいなあ。「逸徳は死ぬまで杯をはなしませんでした・・・」というのもわるくない。 というわけで近くの農家の無人販売に散歩がてらふとねぎを買いにいってきます。ネギ焼きもうまい。・・・・ううう 電気代がもったいないとエアコンをつけずにいたら現在室温4度。
で、名古屋にいる娘がネイルの店をやっているのだが、今回リニュ-アルオープンとかで、ばかにいそがしくなり、しかも旦那がしばらく出張。しょうがないのでうちの奥さんとおばあちゃんが二人で孫の面倒をみにでかけた。その結果、24日から2日までひとりぐらしとなった。それは別にいい。だが困ったことがおきた。すきなものつくって、毎日酒飲んで1週間は正月気分でいくかとよろこんでいたのだが、どうしても料理をつくりすぎてしまう。1人前というのがむつかしいのである。結果として品数をふやすと2人前ぐらいになってしまう。 しかも焼け跡の食糧難時代の飢餓の恐怖感が潜在意識に深くしみこんでいるので、残すことができないのだ。あああ、またふとるなあ。・・・・・誰か飲みにこないかい。 今夜のメニューは豆腐ハンバーグとネギまぐろなべ。 うまいのだこれが。 酒がすすむ。おかげで、褌子さん、頭が重いことも浮遊感もないぜ。このままいってもいいなあ。「逸徳は死ぬまで杯をはなしませんでした・・・」というのもわるくない。 というわけで近くの農家の無人販売に散歩がてらふとねぎを買いにいってきます。ネギ焼きもうまい。・・・・ううう 電気代がもったいないとエアコンをつけずにいたら現在室温4度。
墨東綺譚・・・・褌子
さいきん、時々、頭重感とめまいによる浮遊感がする。国兼さんの例もあるので近所の脳神経外科でCTスキャンをとったが何でもないという。そこで昨日、千葉労災病院の神経内科に紹介状もって行った。混んでいるので驚いた。とつぜん医者に「きょうは何日ですか」とか「けさ何を食べましたか」といわれて一瞬思い出せなかった。MRIとるのは三月半ばになってしまったが、とりあえず脳梗塞の可能性は低いといわれてひと安心。では、あたまんなかの何が原因だという思いもある。
猫跨ぎさんが荷風の日記『断腸亭日乗』を読んでいるらしいのに刺激されたのか、病院での二時半もの待ち時間で永井荷風の短編『墨東綺譚』を読んだ。(墨にはさんずいがつくがパソコンででてこない)大正から昭和のはじめころの下町の風俗や人情を活写していて、わかりやすい名文。
荷風は氏も育ちもいいひとらしいが、娼妓というもっとも底辺にいきる女性達の生活にいりびたり、彼女たちからこよなく愛されたひとらしい。江戸趣味とか花柳趣味を生涯つらぬいて権力とか名誉欲とかと無縁、まったく立ち位置変えずの生き方。昭和11年脱稿とあるから、日本が刻々戦争へと向かう時期にこんなことを赤裸々に告白した作品だと思うと感慨がある。
文庫本の中村光夫の解説では明治の高級官僚だった父に随分反抗したらしい。こういうところは『暗夜行路』の志賀直哉に似ていると思った。ちなみに直哉の父は足尾鉱毒事件の古河市兵衛に肩入れした人物。
猫跨ぎさんが荷風の日記『断腸亭日乗』を読んでいるらしいのに刺激されたのか、病院での二時半もの待ち時間で永井荷風の短編『墨東綺譚』を読んだ。(墨にはさんずいがつくがパソコンででてこない)大正から昭和のはじめころの下町の風俗や人情を活写していて、わかりやすい名文。
荷風は氏も育ちもいいひとらしいが、娼妓というもっとも底辺にいきる女性達の生活にいりびたり、彼女たちからこよなく愛されたひとらしい。江戸趣味とか花柳趣味を生涯つらぬいて権力とか名誉欲とかと無縁、まったく立ち位置変えずの生き方。昭和11年脱稿とあるから、日本が刻々戦争へと向かう時期にこんなことを赤裸々に告白した作品だと思うと感慨がある。
文庫本の中村光夫の解説では明治の高級官僚だった父に随分反抗したらしい。こういうところは『暗夜行路』の志賀直哉に似ていると思った。ちなみに直哉の父は足尾鉱毒事件の古河市兵衛に肩入れした人物。
2013年2月19日火曜日
連句・・・猫跨ぎ
お二人の句評どうも有難う。西鶴は一日独吟2万3500句とかいうのはどうなんだろうね。一日24時間は、86400秒。4秒弱で一句と言うことになる。まさかね。この頃、何かの供養とかイベントで一日一夜に何句という数を競う遊びが盛んだったらしい。
連句というのはそういうのではなく、亭主が或る発句を提示し、それに複数の出席者が次々に付け句をしていくという遊び。36句で終了、歌仙を巻いたという事になる。前の句につかず離れず付け、しかし世界をどんどん発展させていくという基本がある。だからどんな展開になるかは誰にも分からない。そして要所要所にきまりがある。例えばこの箇所に恋句をいれるとか。ちなみに芭蕉はこの連句が得意。私より独吟の上手いものは沢山いるが、連句の捌きは私にまかせて、という自信を示していた。そう、捌き手が大事で、歌仙が成功するかどうかは捌きによる。
また雪が降ってきた。中国の大気汚染が問題になっているが、日本でも四日市喘息、川崎喘息とか言ってたのはついこの前。古くは霧のロンドンがある。あの霧は石炭燃焼による大気汚染起因のもの。産業化、高度成長と併行しているんだね。人間は歴史に学ばず、忠実に繰り返すものらしい。
連句というのはそういうのではなく、亭主が或る発句を提示し、それに複数の出席者が次々に付け句をしていくという遊び。36句で終了、歌仙を巻いたという事になる。前の句につかず離れず付け、しかし世界をどんどん発展させていくという基本がある。だからどんな展開になるかは誰にも分からない。そして要所要所にきまりがある。例えばこの箇所に恋句をいれるとか。ちなみに芭蕉はこの連句が得意。私より独吟の上手いものは沢山いるが、連句の捌きは私にまかせて、という自信を示していた。そう、捌き手が大事で、歌仙が成功するかどうかは捌きによる。
また雪が降ってきた。中国の大気汚染が問題になっているが、日本でも四日市喘息、川崎喘息とか言ってたのはついこの前。古くは霧のロンドンがある。あの霧は石炭燃焼による大気汚染起因のもの。産業化、高度成長と併行しているんだね。人間は歴史に学ばず、忠実に繰り返すものらしい。
2013年2月17日日曜日
函館通信201・・・きさらぎ十句鑑賞・・・仁兵衛
寒さに頭の回転悪く鑑賞も薄っぺらになりがちだ。ご免なされ。
・去年今年ほとんどの皿使はれず・・・皿の上にラップを敷いて使うと一枚で済む。これは震災地での話し。
・是非もなき昔話や年酒酌む・・・今年は我が家は正月が無かったので年酒も飲まなかったな。
・水洟をすすり「断腸亭日乗」・・・永井荷風は四畳半しか知らないので余程立て付けが悪く寒かったのだろう。マンションでもちょっと部屋の温度が下がるとてきめんに鼻水が出てくる。
・むづかしき顔して大根抜いてをり・・・作者が大根をを抜いているとなると自然体だな。
・雪深ければ音量上げるシベリウス・・・下五のシベリウスの締りが気に入りました。準特選。
・故郷の路地裏迷ふ一茶の忌・・・一茶は親が早く死んでふるさと長野で遺産相続で苦労したようですね。それでも句数は極めて多いいね。
・プチプチを潰し尽くして寒明ける・・・私もプチプチを句材に使った事があるがなんとなく侘しいね。
・春光は奥までベトナム料理店・・・函館では奥までロシア領事館といったところかな。
・きさらぎの客間に古き時刻表・・・人の居なくなった客間に何時までも古くなった時刻表がピン止めされている。きさらぎが効いている。準特選。
・春一番指につめたき猫の耳・・・作者はこの猫が余程好きなんだね。猫の方も耳を触られて気持ちよく感じているのかな。春一番の暖かさに対して猫の耳の冷たさが実に良く置かれている。特選。
・去年今年ほとんどの皿使はれず・・・皿の上にラップを敷いて使うと一枚で済む。これは震災地での話し。
・是非もなき昔話や年酒酌む・・・今年は我が家は正月が無かったので年酒も飲まなかったな。
・水洟をすすり「断腸亭日乗」・・・永井荷風は四畳半しか知らないので余程立て付けが悪く寒かったのだろう。マンションでもちょっと部屋の温度が下がるとてきめんに鼻水が出てくる。
・むづかしき顔して大根抜いてをり・・・作者が大根をを抜いているとなると自然体だな。
・雪深ければ音量上げるシベリウス・・・下五のシベリウスの締りが気に入りました。準特選。
・故郷の路地裏迷ふ一茶の忌・・・一茶は親が早く死んでふるさと長野で遺産相続で苦労したようですね。それでも句数は極めて多いいね。
・プチプチを潰し尽くして寒明ける・・・私もプチプチを句材に使った事があるがなんとなく侘しいね。
・春光は奥までベトナム料理店・・・函館では奥までロシア領事館といったところかな。
・きさらぎの客間に古き時刻表・・・人の居なくなった客間に何時までも古くなった時刻表がピン止めされている。きさらぎが効いている。準特選。
・春一番指につめたき猫の耳・・・作者はこの猫が余程好きなんだね。猫の方も耳を触られて気持ちよく感じているのかな。春一番の暖かさに対して猫の耳の冷たさが実に良く置かれている。特選。
2013年2月16日土曜日
RE:きさらぎ十句鑑賞・・・・褌子
井原西鶴でしたか。近松? 一晩に三千句もつくったのは。
・去年今年ほとんどの皿使はれず
そうだねえ。食器類はまったくそうだ。
・是非もなき昔話や年酒酌む
年寄りはすぐ忘れるせいか話が繰り返しが多くていかん。
自分もその傾向有り。反省しよう。―――何を反省したのかもう忘れた
・水洟をすすり「断腸亭日乗」
荷風と水洟はなんとなく配合よし。
荷風は読んだことないが、文化勲章は断って欲しかった人。
・むづかしき顔して大根抜いてをり
ゴム長はいて無心に畑で働く農婦の横顔ですか。
大工さんとか農家のおじさんとか、長年体をうごかして労働してきた人の顔はいい顔が多い。
・雪深ければ音量上げるシベリウス
特選 きっとフィンランデリアを聴いているんだね。
雪がとっぷり降ると吸音効果がある。寒風のラップランド、トナカイの群れ
・故郷の路地裏迷ふ一茶の忌
一茶忌は旧暦11月19日だと知った。
一茶のふるさとは北信州柏原。鄙びた家が残っていた記憶がある。いまごろは雪のなかだろう。
藤沢周平『一茶』を読んだが、身内との財産争いにもまきこまれているんだね。
・プチプチを潰し尽くして寒明ける
早く陽光あふれる春よこいの気持ちがでている。
・春光は奥までベトナム料理店
そうかこういうふうにさらりと作句すればいいのか
そのまんまありのままをすうっと射し込む春の光のように…うらやましいです
・きさらぎの客間に古き時刻表
特選 年始廻りに行った旧家の客間。煤竹の一輪挿し。
柱時計もあるな。神棚も。唯看花開落不言是非人なんて額がかかっている。
・春一番指につめたき猫の耳
猫の耳は冷たいんですか。薄いせいか。
はじめて知りました。
・去年今年ほとんどの皿使はれず
そうだねえ。食器類はまったくそうだ。
・是非もなき昔話や年酒酌む
年寄りはすぐ忘れるせいか話が繰り返しが多くていかん。
自分もその傾向有り。反省しよう。―――何を反省したのかもう忘れた
・水洟をすすり「断腸亭日乗」
荷風と水洟はなんとなく配合よし。
荷風は読んだことないが、文化勲章は断って欲しかった人。
・むづかしき顔して大根抜いてをり
ゴム長はいて無心に畑で働く農婦の横顔ですか。
大工さんとか農家のおじさんとか、長年体をうごかして労働してきた人の顔はいい顔が多い。
・雪深ければ音量上げるシベリウス
特選 きっとフィンランデリアを聴いているんだね。
雪がとっぷり降ると吸音効果がある。寒風のラップランド、トナカイの群れ
・故郷の路地裏迷ふ一茶の忌
一茶忌は旧暦11月19日だと知った。
一茶のふるさとは北信州柏原。鄙びた家が残っていた記憶がある。いまごろは雪のなかだろう。
藤沢周平『一茶』を読んだが、身内との財産争いにもまきこまれているんだね。
・プチプチを潰し尽くして寒明ける
早く陽光あふれる春よこいの気持ちがでている。
・春光は奥までベトナム料理店
そうかこういうふうにさらりと作句すればいいのか
そのまんまありのままをすうっと射し込む春の光のように…うらやましいです
・きさらぎの客間に古き時刻表
特選 年始廻りに行った旧家の客間。煤竹の一輪挿し。
柱時計もあるな。神棚も。唯看花開落不言是非人なんて額がかかっている。
・春一番指につめたき猫の耳
猫の耳は冷たいんですか。薄いせいか。
はじめて知りました。
2013年2月15日金曜日
きさらぎ十句・・・猫跨ぎ
こちらもいつまでも寒い。今日も一日中冷たい雨。きのう連句のカルチャーの日だった。江戸時代に市中で大流行だった連句。難しい。しかし面白い。はまったらちょっと抜けられないな。昔の人の方がはるかに洗練されているね。人生を深く生きていたと思う。
・去年今年ほとんどの皿使はれず
・是非もなき昔話や年酒酌む
・水洟をすすり「断腸亭日乗」
・むづかしき顔して大根抜いてをり
・雪深ければ音量上げるシベリウス
・故郷の路地裏迷ふ一茶の忌
・プチプチを潰し尽くして寒明ける
・春光は奥までベトナム料理店
・きさらぎの客間に古き時刻表
・春一番指につめたき猫の耳
・去年今年ほとんどの皿使はれず
・是非もなき昔話や年酒酌む
・水洟をすすり「断腸亭日乗」
・むづかしき顔して大根抜いてをり
・雪深ければ音量上げるシベリウス
・故郷の路地裏迷ふ一茶の忌
・プチプチを潰し尽くして寒明ける
・春光は奥までベトナム料理店
・きさらぎの客間に古き時刻表
・春一番指につめたき猫の耳
春遠からじ・・・猫跨ぎ
北海道で俳句するとき、今がいちばん歳時記に違和感を感じるのだと思うね。歳時記は何だかんだ言いながら結局、京都周辺の季感がベースになっているから。春寒料峭なんてふざけるなというところか。さはさりながら、結局歳時記の世界で俳句を作ってしまう。季感はモノにではなく言葉にくっついていると言うことが良く判る。
今回は作者もいうように、ぼやきがベースに流れているね。
・ 凍て返る最長不倒距離までも
北海道の中学生の少女がワールドカップで連勝していることを言っているのだろう。最近北海道で大会があった。K点越えを連発したとか。こっちはテレビで観戦だが、現実は厳寒のなか。
・ 牛糞の湯気立ち上り水の春
水の春がいいね。春の水の傍題だが、違う感覚がある。特選
・ 明日には冬の出口を見出さん
・ 氷面鏡危ない危ない近づくな
ぼやきながらも本音がつい口にでる。
・ 噛締めるいぶりがっこの余寒かな
いぶりがっこは昔食べた。最近はとんとお目に掛からない。煙臭い独特の風味で私は好きだね。雪国の薄暗い、囲炉裏端を連想する。春まだき、を思っている。
・ 水際の一番打者や蕗の薹
それでも春の息吹か。
・ 這い這いの距離のびてゆく春の海
これは元気な赤ちゃんの風景か。春の海までどんどん這ってゆけ。準特選
・ リヤカーにチッキを載せて猫の恋
チッキってあったね。車なんてない時代だからリアカーで駅まで。国鉄の「運んでやる」の姿勢をまざまざと思い出す。家に届いたとき、ネズミの侵入した穴があったりした。保証請求なんて考えもしない時代だった。猫の恋の頃かな。
・ 払われた赤鬼いずこ寒戻る
ひととおり節分で鬼やらい。しかし寒さはそんな習俗を凍えさせるかのようだ。
・ 牡丹雪ひと片ふた片接げゆけり
最後は詩的な仁ワールド。
まあ、もう少しの辛抱で、頑張って。
今回は作者もいうように、ぼやきがベースに流れているね。
・ 凍て返る最長不倒距離までも
北海道の中学生の少女がワールドカップで連勝していることを言っているのだろう。最近北海道で大会があった。K点越えを連発したとか。こっちはテレビで観戦だが、現実は厳寒のなか。
・ 牛糞の湯気立ち上り水の春
水の春がいいね。春の水の傍題だが、違う感覚がある。特選
・ 明日には冬の出口を見出さん
・ 氷面鏡危ない危ない近づくな
ぼやきながらも本音がつい口にでる。
・ 噛締めるいぶりがっこの余寒かな
いぶりがっこは昔食べた。最近はとんとお目に掛からない。煙臭い独特の風味で私は好きだね。雪国の薄暗い、囲炉裏端を連想する。春まだき、を思っている。
・ 水際の一番打者や蕗の薹
それでも春の息吹か。
・ 這い這いの距離のびてゆく春の海
これは元気な赤ちゃんの風景か。春の海までどんどん這ってゆけ。準特選
・ リヤカーにチッキを載せて猫の恋
チッキってあったね。車なんてない時代だからリアカーで駅まで。国鉄の「運んでやる」の姿勢をまざまざと思い出す。家に届いたとき、ネズミの侵入した穴があったりした。保証請求なんて考えもしない時代だった。猫の恋の頃かな。
・ 払われた赤鬼いずこ寒戻る
ひととおり節分で鬼やらい。しかし寒さはそんな習俗を凍えさせるかのようだ。
・ 牡丹雪ひと片ふた片接げゆけり
最後は詩的な仁ワールド。
まあ、もう少しの辛抱で、頑張って。
RE:春立つ・・・褌子
・凍て返る最長不倒距離までも
何もかも妙なものまで寒の戻りに凍り付いている。
・牛糞の湯気立ち上り水の春
北海道だと馬糞のイメージだが牛糞でもかまわない。
冬枯れのあとだけに水の春が新鮮。牛糞と春水の対比が面白い
・明日には冬の出口を見出さん
春待望の気持ちがでている
・氷面鏡危ない危ない近づくな
二度と後頭部を…
・噛締めるいぶりがっこの余寒かな
特選 昨年秋に逸徳さんと秋田の山湯にいって、いぶりがっこをずいぶん食った があのちょっと焦げ臭い味はやみつきになるね。
・水際の一番打者や蕗の薹
フキノトウが春一番で芽をだしたということか。
・這い這いの距離のびてゆく春の海
準特選 いい句だね。生きているという実感あり
・リヤカーにチッキを載せて猫の恋
チッキとは懐かしいことば。リヤカーにチッキか。
荷車に柳行李だともっと昔。
・払われた赤鬼いずこ寒戻る
節分も立春も終わったのにね
・牡丹雪ひと片ふた片接げゆけり
雰囲気あるね。熱燗に湯豆腐だ。しかし春は近い
何もかも妙なものまで寒の戻りに凍り付いている。
・牛糞の湯気立ち上り水の春
北海道だと馬糞のイメージだが牛糞でもかまわない。
冬枯れのあとだけに水の春が新鮮。牛糞と春水の対比が面白い
・明日には冬の出口を見出さん
春待望の気持ちがでている
・氷面鏡危ない危ない近づくな
二度と後頭部を…
・噛締めるいぶりがっこの余寒かな
特選 昨年秋に逸徳さんと秋田の山湯にいって、いぶりがっこをずいぶん食った があのちょっと焦げ臭い味はやみつきになるね。
・水際の一番打者や蕗の薹
フキノトウが春一番で芽をだしたということか。
・這い這いの距離のびてゆく春の海
準特選 いい句だね。生きているという実感あり
・リヤカーにチッキを載せて猫の恋
チッキとは懐かしいことば。リヤカーにチッキか。
荷車に柳行李だともっと昔。
・払われた赤鬼いずこ寒戻る
節分も立春も終わったのにね
・牡丹雪ひと片ふた片接げゆけり
雰囲気あるね。熱燗に湯豆腐だ。しかし春は近い
2013年2月14日木曜日
函館通信200・・・春立つ・・・仁兵衛
立春が過ぎた。さっぱり暖かさは感じられない。春日の中を房総の低山歩きを出来る事だけで幸せと思わないけんぞ!
函館に来て6回目の冬を過ごしているのだが今年は雪は少ないが寒さがひときわ強く感じられる。データも平年より気温が低い日が続いているのを示している。北海道を棄てて(?)暖かい所に移り住めば再度北海道には戻りたくなくなるのは当然だ。ただただ一人ぼやき節を歌う以外になさそうだ。まあ上野の花見の時にまた酔っ払いからの電話でも待つと致そう。
ぼやき近作十句よろしく。
・ 凍て返る最長不倒距離までも
・ 牛糞の湯気立ち上り水の春
・ 明日には冬の出口を見出さん
・ 氷面鏡危ない危ない近づくな
・ 噛締めるいぶりがっこの余寒かな
・ 水際の一番打者や蕗の薹
・ 這い這いの距離のびてゆく春の海
・ リヤカーにチッキを載せて猫の恋
・ 払われた赤鬼いずこ寒戻る
・ 牡丹雪ひと片ふた片接げゆけり
函館に来て6回目の冬を過ごしているのだが今年は雪は少ないが寒さがひときわ強く感じられる。データも平年より気温が低い日が続いているのを示している。北海道を棄てて(?)暖かい所に移り住めば再度北海道には戻りたくなくなるのは当然だ。ただただ一人ぼやき節を歌う以外になさそうだ。まあ上野の花見の時にまた酔っ払いからの電話でも待つと致そう。
ぼやき近作十句よろしく。
・ 凍て返る最長不倒距離までも
・ 牛糞の湯気立ち上り水の春
・ 明日には冬の出口を見出さん
・ 氷面鏡危ない危ない近づくな
・ 噛締めるいぶりがっこの余寒かな
・ 水際の一番打者や蕗の薹
・ 這い這いの距離のびてゆく春の海
・ リヤカーにチッキを載せて猫の恋
・ 払われた赤鬼いずこ寒戻る
・ 牡丹雪ひと片ふた片接げゆけり
サンダカン・・・・褌子
下↓に、房州の江戸道を女房達と歩いたことを書いた。一緒に歩いた女房の友達のKさんという女性が山道で昼食中にボルネオの最高峰キナバルに登った帰途、、ボルネオの港町サンダカンで、いわゆる「からゆきさん」のお墓詣りをしたことを話してくれた。墓はみな祖国日本に背を向けて建っていた…という。墓が日本に背を向けてという話は、むかしみた熊井啓監督の『サンダカン八番娼館――望郷』という映画で知ってはいたが。
昨日から山崎朋子『サンダカン八番娼館』を読み出した。衝撃をうけている。山本茂実『あゝ野麦峠』よりもはげしく。『サンダカンの墓』など山崎朋子の作品が発表されたのは昭和四〇年代。じぶんは何も知らずに、会社に入ったばかりの頃だったなあ。
『あゝ野麦峠』も『サンダカン八番娼館』も文庫本で本棚の隅っこにあったから、三十代のころ、読んでみようと買ったのに一度も読まないまま四十年以上たったのである。
昨日から山崎朋子『サンダカン八番娼館』を読み出した。衝撃をうけている。山本茂実『あゝ野麦峠』よりもはげしく。『サンダカンの墓』など山崎朋子の作品が発表されたのは昭和四〇年代。じぶんは何も知らずに、会社に入ったばかりの頃だったなあ。
『あゝ野麦峠』も『サンダカン八番娼館』も文庫本で本棚の隅っこにあったから、三十代のころ、読んでみようと買ったのに一度も読まないまま四十年以上たったのである。
2013年2月12日火曜日
春・・・・褌子
きのうは風のない良い天気なので、大多喜城ちかくの梅をみにいった。まだ一分咲きくらいだが青空に映えてきれい。
そのあと山の中に残っている江戸道を一里くらい歩いた。文化何年という道祖神みたいなものを残っている。
房総南部の山道は温かくなるとヒルがでる。マムシやスズメバチも多い。農家は一年中、鹿、猪、猿に悩まされているが、われわれのハイキングには虫のいない冬の小春日和の日が一番いいのである。落葉樹の葉がないのでバードウオッチングにも向いている。蛇行する眼下の夷隅川にカイツムリが遊んでいる。雪国のひとには申し訳ないようないい散歩であった。
めあてのフキノトウがみつからない。帰って庭を探したら十個くらいみつかったので近所の奥さんに持って行った。一日一善。
今朝、デッキで猫がデート中。外の鉢のメダカがいなくなったのは彼らのせいか。若いオス猫が彼女のまんまえで片足あげて清掃はじめた。近頃の若いもんは、ったく。思わずキミ、キミと注意。【写真:テーブルの下で年増猫がしきりに誘うが…】
そのあと山の中に残っている江戸道を一里くらい歩いた。文化何年という道祖神みたいなものを残っている。
房総南部の山道は温かくなるとヒルがでる。マムシやスズメバチも多い。農家は一年中、鹿、猪、猿に悩まされているが、われわれのハイキングには虫のいない冬の小春日和の日が一番いいのである。落葉樹の葉がないのでバードウオッチングにも向いている。蛇行する眼下の夷隅川にカイツムリが遊んでいる。雪国のひとには申し訳ないようないい散歩であった。
めあてのフキノトウがみつからない。帰って庭を探したら十個くらいみつかったので近所の奥さんに持って行った。一日一善。
今朝、デッキで猫がデート中。外の鉢のメダカがいなくなったのは彼らのせいか。若いオス猫が彼女のまんまえで片足あげて清掃はじめた。近頃の若いもんは、ったく。思わずキミ、キミと注意。【写真:テーブルの下で年増猫がしきりに誘うが…】
2013年2月10日日曜日
大津絵・・・猫跨ぎ
そうそう先般、褌子氏にダビングしたCDを沢山頂戴した。いま聴く準備が出来たので寝床で愉しませて貰う。藤沢周平が落語は嫌いと言っていたということだが、へーそうかとネットで見ると、「最初はなんだこんなものと思ったが、聴いてみるとなかなか面白い」というコメント紹介もある。
小泉信三は毎年一度は料亭に古今亭志ん生を招いて暫時もてなし、「志ん生君、さあ、やってくれたまえ」と言って志ん生が唄う「大津絵」を聴いては涙を流し、ハンカチで目を拭ったという。火消しの亭主を誇りに思い、火事場に出かけた亭主の無事を祈る女房の心根を思ってのこと。「大津絵」とは、宿場町の大津で売られていた土産の絵画。これが厄除けにもなり、また俗曲としても流行したらしい。
知らせの半鐘がジャンと鳴りゃ
これさ女房わらじ出せ
刺子襦袢(さしこじゅばん)に火事頭巾(かじずきん)
四十八組おいおいと
お掛り衆の下知(げち)をうけ
出て行きゃ女房その後で
うがい手洗(ちょうず)にその身をきよめ
今宵ウチの人になァ
怪我のないよう
南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)
清正公菩薩(せいしょうこうぼさつ)
ありゃりゃんリュウの掛け声で
勇みゆく
ほんにお前はままならぬ
もしも生まれたこの子が男の子なら
お前の商売させやせぬぞえ
罪じゃもの
YouTube で志ん生が唄っているのを聞くこと出来る。
こういう世界は、もうなくなってしまったなあと思いながら聞いている。
小泉信三は毎年一度は料亭に古今亭志ん生を招いて暫時もてなし、「志ん生君、さあ、やってくれたまえ」と言って志ん生が唄う「大津絵」を聴いては涙を流し、ハンカチで目を拭ったという。火消しの亭主を誇りに思い、火事場に出かけた亭主の無事を祈る女房の心根を思ってのこと。「大津絵」とは、宿場町の大津で売られていた土産の絵画。これが厄除けにもなり、また俗曲としても流行したらしい。
知らせの半鐘がジャンと鳴りゃ
これさ女房わらじ出せ
刺子襦袢(さしこじゅばん)に火事頭巾(かじずきん)
四十八組おいおいと
お掛り衆の下知(げち)をうけ
出て行きゃ女房その後で
うがい手洗(ちょうず)にその身をきよめ
今宵ウチの人になァ
怪我のないよう
南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)
清正公菩薩(せいしょうこうぼさつ)
ありゃりゃんリュウの掛け声で
勇みゆく
ほんにお前はままならぬ
もしも生まれたこの子が男の子なら
お前の商売させやせぬぞえ
罪じゃもの
YouTube で志ん生が唄っているのを聞くこと出来る。
こういう世界は、もうなくなってしまったなあと思いながら聞いている。
『流離譚』 ・・・褌子
イカ墨がカラスの羽根みたいな色だからイカを烏賊と書くだとあるひと(女房)が教えてくれた。本当かどうか。“イカフライ”にはほんとうに驚いたね。写真の下の海の色もきれいだ。
志ん生の落語の話があった。いぜんホロホロのメンバーにもコピーを配った記憶があるが、手持ちのCDの志ん生には火焔太鼓、三軒茶屋、替わり目、黄金餅、大山詣りが入っている。「鈴振り」は手持ちのカセットテープにあるのだがたぶんCDになることはないだろう。藤沢周平が「落語はききません。下品だから」と言っていた話を思いだした。
これも猫跨ぎさんが紹介してくれたのだが村上春樹の『小澤征爾さんと、音楽について話をする』(新潮社)を半分くらい読んだところ。征爾と春樹という当代一流の日本人ふたりの対談記録。ぜんぶ自分などの知らない音楽の話ばかりが次々と出てくる。人間の世界にはこういう世界もあるんだなあ…としきりに感じ入っているところ。捨てずにまだ残してあったレコードもプレイヤーで何十年ぶりかに聴いてみるきになった。内田光子という日本人ピアニストを征爾が激賞しているのでベートーベンのピアノ協奏曲第三番のCDも欲しくなった。
音楽とスポーツは昔から苦手だったなあ。熊さんのように合唱団にも入ったことないし楽器もさわったことがない。いま、体罰が話題になっているがスポーツも何となく古い精神主義みたいなところを感じて苦手だった。子どもの頃から中耳炎で左耳が全く聞こえないこともある。
黒岩重吾『天の川の太陽』を読んで壬申の乱が何となくわかったような気になった。このころの朝鮮半島や唐との関係も。白村江の敗戦直後だけでも百済から三千人も亡命してきているんだね。『紅蓮の女王― 推古女帝』や『天翔ける白日― 小説大津皇子』も読み出したところ。
ホロホロ会で飛鳥にいったときに小蔵ひでをさんが二上山に行きたいといったのをおぼえているが、ここに大津皇子の墓があるんだそうだ。二上山は行ってみたい。多武峰の談山神社も再訪したいところだ。
黒岩重吾は「背徳のメス」などの現代人のどすぐろい欲望を描いたものに、むかし辟易した記憶があるが、奈良県の旧制宇陀中出身のひとで満州での戦争体験も持つ。大阪出身の司馬遼太郎とも似た経歴。1972年の高松塚古墳の発見などで自分の生まれ育ったところが古代史の舞台だったことに気付いて日本書紀はじめ猛烈に文献を読みあさって古代史を題材にした小説群を次々に発表した。こういう能力のあるひとがうらやましいね。
きのう、90才のおばあさんの葬式にでた。30年前に亡くなったご主人の蔵書をたくさん去年もらったばかり。クロス装幀の鴎外選集とか魯迅選集、それに安岡章太郎『流離譚』など。安岡章太郎も先日亡くなりましたね。『流離譚』は安岡の高知の生家、土佐勤王党をだした幕末以来の家の歴史を描いた大作で、新聞の訃報では『流離譚』が代表作なんだそうだ。A3版の詳しい家系図が付録についている。
志ん生の落語の話があった。いぜんホロホロのメンバーにもコピーを配った記憶があるが、手持ちのCDの志ん生には火焔太鼓、三軒茶屋、替わり目、黄金餅、大山詣りが入っている。「鈴振り」は手持ちのカセットテープにあるのだがたぶんCDになることはないだろう。藤沢周平が「落語はききません。下品だから」と言っていた話を思いだした。
これも猫跨ぎさんが紹介してくれたのだが村上春樹の『小澤征爾さんと、音楽について話をする』(新潮社)を半分くらい読んだところ。征爾と春樹という当代一流の日本人ふたりの対談記録。ぜんぶ自分などの知らない音楽の話ばかりが次々と出てくる。人間の世界にはこういう世界もあるんだなあ…としきりに感じ入っているところ。捨てずにまだ残してあったレコードもプレイヤーで何十年ぶりかに聴いてみるきになった。内田光子という日本人ピアニストを征爾が激賞しているのでベートーベンのピアノ協奏曲第三番のCDも欲しくなった。
音楽とスポーツは昔から苦手だったなあ。熊さんのように合唱団にも入ったことないし楽器もさわったことがない。いま、体罰が話題になっているがスポーツも何となく古い精神主義みたいなところを感じて苦手だった。子どもの頃から中耳炎で左耳が全く聞こえないこともある。
黒岩重吾『天の川の太陽』を読んで壬申の乱が何となくわかったような気になった。このころの朝鮮半島や唐との関係も。白村江の敗戦直後だけでも百済から三千人も亡命してきているんだね。『紅蓮の女王― 推古女帝』や『天翔ける白日― 小説大津皇子』も読み出したところ。
ホロホロ会で飛鳥にいったときに小蔵ひでをさんが二上山に行きたいといったのをおぼえているが、ここに大津皇子の墓があるんだそうだ。二上山は行ってみたい。多武峰の談山神社も再訪したいところだ。
黒岩重吾は「背徳のメス」などの現代人のどすぐろい欲望を描いたものに、むかし辟易した記憶があるが、奈良県の旧制宇陀中出身のひとで満州での戦争体験も持つ。大阪出身の司馬遼太郎とも似た経歴。1972年の高松塚古墳の発見などで自分の生まれ育ったところが古代史の舞台だったことに気付いて日本書紀はじめ猛烈に文献を読みあさって古代史を題材にした小説群を次々に発表した。こういう能力のあるひとがうらやましいね。
きのう、90才のおばあさんの葬式にでた。30年前に亡くなったご主人の蔵書をたくさん去年もらったばかり。クロス装幀の鴎外選集とか魯迅選集、それに安岡章太郎『流離譚』など。安岡章太郎も先日亡くなりましたね。『流離譚』は安岡の高知の生家、土佐勤王党をだした幕末以来の家の歴史を描いた大作で、新聞の訃報では『流離譚』が代表作なんだそうだ。A3版の詳しい家系図が付録についている。
2013年2月8日金曜日
函館通信199・・・道新・・・仁兵衛
猫跨ぎさん、情報が早いね。この烏賊の写真今朝の北海道新聞に掲載されたものだ。
女房とこれは珍しいと言っていた所です。自然界では本当にわれわれの想像を飛び越した現象は多いいものですね。
「なにこれ!大発見!」で間違いなく特選でしょう。
女房とこれは珍しいと言っていた所です。自然界では本当にわれわれの想像を飛び越した現象は多いいものですね。
「なにこれ!大発見!」で間違いなく特選でしょう。
イカフライ・・・猫跨ぎ
もう少し詳しい情報があるので、転載しておく。
村松さん(北大修士課程学生)によると、イカの飛行は、〈1〉飛び出し〈2〉噴射〈3〉滑空〈4〉着水――の4段階に分類できる。飛び出しや着水時には腕や頭のヒレを折りたたんでいるのに対し、滑空中には広げており、体を持ち上げる「揚力」を生みだしていた。一方、スミを吐いたり、速く泳いだりする時に使う「漏斗」を用いた海水のジェット推進も、水中と空中の両方で行っていた。
撮影したイカはスルメイカの仲間とみられ、時速約36キロ・メートルまで加速して高さ2~3メートルに達し、3秒間で約30メートル飛行したと分析された。村松さんは「捕食者から逃げるため、飛行能力を発達させたのだろう」と話している。
そういえば、こんな形のジェット機があったように記憶する。アメリカ空軍機かな。
これが本当のイカフライ。
村松さん(北大修士課程学生)によると、イカの飛行は、〈1〉飛び出し〈2〉噴射〈3〉滑空〈4〉着水――の4段階に分類できる。飛び出しや着水時には腕や頭のヒレを折りたたんでいるのに対し、滑空中には広げており、体を持ち上げる「揚力」を生みだしていた。一方、スミを吐いたり、速く泳いだりする時に使う「漏斗」を用いた海水のジェット推進も、水中と空中の両方で行っていた。
撮影したイカはスルメイカの仲間とみられ、時速約36キロ・メートルまで加速して高さ2~3メートルに達し、3秒間で約30メートル飛行したと分析された。村松さんは「捕食者から逃げるため、飛行能力を発達させたのだろう」と話している。
そういえば、こんな形のジェット機があったように記憶する。アメリカ空軍機かな。
これが本当のイカフライ。
みたみた・・・・逸徳
おいらもパソコン立ち上げて、すぐに今みたところだ。北大が活躍するニュースにはどうしても目がいってしまう。 イカが飛ぶとは面白い。何メートルぐらいとぶのかなあ。 おそらくジェット式の推進方法の生物はイカだけかもしれん。 ほんとに自然は奥深いね。 なお、ホタテガイの帆走の話はどうも俗説であり確認はされていないらしい。 似た話でエイが羽ばたいて空を飛ぶというのもある。 イメージとしては面白く、月夜の海をいっせいにホタテガイがまさに帆を立てて帆走する光景を書いた詩人がいたなあ。まあ、大事にしたいイメージだ。
2013年2月7日木曜日
烏賊の飛行・・・猫跨ぎ
今、ネットで珍しい記事をみた。イカ転載しよう。
北海道大北方生物圏フィールド科学センターの山本潤助教らのグループが海中からイカが飛び出す姿の連続撮影に成功。空中で加速、ひれなどを翼のように広げてバランスを保つ様子を確認し、一連の動作は「飛行」に当たるとの研究結果をまとめ、7日までにドイツの科学誌に発表した。連続撮影は世界初としている。
山本助教は「イカの驚異的な飛行能力が明らかになっただけでなく、空中で海鳥に捕食されている可能性も高まった」と指摘している。
研究グループによると、2011年7月、東京の東方沖約600キロでアカイカ科の小型のイカ約100匹が海中から飛び出す姿を撮影。
そういえば、ホタテ貝が海面へ出て、殻を上へ上げて風を受けて滑走すると聞いたことがある。世の中、不思議なことがまだまだあるものだ。
山本助教は「イカの驚異的な飛行能力が明らかになっただけでなく、空中で海鳥に捕食されている可能性も高まった」と指摘している。
研究グループによると、2011年7月、東京の東方沖約600キロでアカイカ科の小型のイカ約100匹が海中から飛び出す姿を撮影。
そういえば、ホタテ貝が海面へ出て、殻を上へ上げて風を受けて滑走すると聞いたことがある。世の中、不思議なことがまだまだあるものだ。
2013年2月6日水曜日
予想外れ・・・猫跨ぎ
東京は大雪のはずがみぞれで、それもその後の雨ですっかり流れてしまったらしい。当地は雨の一日。真っ白になったのは、地面ではなく気象庁予報官の頭の中か。1/14の雪を予想できず、今回は肩に力が入りすぎて二度恥を掻いてしまった。気象庁のスーパーコンピューターのレンタル料が一月一億円とか聞いたが、それでもだめか。難しいのなら確定的なこと言いなさんな。長期予報もよく外すしなあ。
褌子氏紹介の志ん生の演目はくすぐりだな。志ん生の良さはしみじみとした人情噺。ほろっとするのがいい。もっとも談志は「落語は人間の業だ」ということだが。
褌子氏紹介の志ん生の演目はくすぐりだな。志ん生の良さはしみじみとした人情噺。ほろっとするのがいい。もっとも談志は「落語は人間の業だ」ということだが。
藤沢の遊行寺・・・褌子
秋刀魚は目黒、落語なら志ん生の「鈴振り」に限る。これはたぶん逸徳さんのお言葉だっと思料する昨今…
■■■ 若い修行僧たちは、関東十八檀林で修行するが、その厳しいことといったらいやはや。その十八檀林はまず、下谷幡随院を振り出しに、・・・(えんえん十八寺の名前が続くが志ん生、順番を間違えても誰もわからない)・・・難行苦行の末、最後に芝増上寺にまでたどり着いて大僧正の位を与えられるのはたった数人。
そのころ、十八壇林四番の藤沢山遊行寺(律宗の名刹。いぜん国兼さんに案内してもらいました。小林さんの茂原山藻源寺でも別にかまわない)で、若僧たち1千人もが日夜修行していたが、大僧正の位のある住職が跡取りを誰にしたもんかと悩んでいた。そこで一計をはかる・・・。
「拙僧の跡目を出す相談をしたい。お盆すぎの20日にお集まり願いたい」と、修行僧を集める。残暑きびしいなか本堂を埋めた若い修行僧を一人ずつ脇に呼んで、「跡目はおまえかもしれないので”せがれ”にこれを・・」といって、金の小さな鈴を付け、同じように千人全員に付けてしまった。「今日は特別な日、酒、肴を許そう」。そのうえ、酌人に綺麗どころがずらり紺の浴衣で現れた。白い肌が透き通る浴衣を素裸の上に着ているだけ。立て膝で「大僧正様のお酒ですよ。おひとついかが」とお酌され「なんたること。これも修行か」と下を手で押さえていたが、住職様のお酒を両手で盃にうけたとたん『チリ~ン』 あちらでも『チリ~ン』 こちらでも『チリ~ン』 それが千人『チリ~ン、チリ~ン』と大本堂ぜんたいに鳴り響いた。
まるで秋の高原、鈴虫の大合唱のてい。国兼さん、ここで一句いきたいねえ。
嵐のようなチリンチリンに大僧正が「近頃の若いもんはまったく」と嘆いていると、一人の若僧が目を半眼に開いて座禅していて、そこだけが鈴の音がしないではないか。うむ彼こそワシの跡継ぎだわいと、別室で「鈴を見せてくれ」というとなんと鈴が無い。
彼いわく
「鈴は、と~に振り切りました!!!」
■■志ん生は高座で、「このような噺は、しっとりとした雰囲気の中、自分もそのような気分の時だけしか演らないねえ」と、言っていたそうだ。
■■■ 若い修行僧たちは、関東十八檀林で修行するが、その厳しいことといったらいやはや。その十八檀林はまず、下谷幡随院を振り出しに、・・・(えんえん十八寺の名前が続くが志ん生、順番を間違えても誰もわからない)・・・難行苦行の末、最後に芝増上寺にまでたどり着いて大僧正の位を与えられるのはたった数人。
そのころ、十八壇林四番の藤沢山遊行寺(律宗の名刹。いぜん国兼さんに案内してもらいました。小林さんの茂原山藻源寺でも別にかまわない)で、若僧たち1千人もが日夜修行していたが、大僧正の位のある住職が跡取りを誰にしたもんかと悩んでいた。そこで一計をはかる・・・。
「拙僧の跡目を出す相談をしたい。お盆すぎの20日にお集まり願いたい」と、修行僧を集める。残暑きびしいなか本堂を埋めた若い修行僧を一人ずつ脇に呼んで、「跡目はおまえかもしれないので”せがれ”にこれを・・」といって、金の小さな鈴を付け、同じように千人全員に付けてしまった。「今日は特別な日、酒、肴を許そう」。そのうえ、酌人に綺麗どころがずらり紺の浴衣で現れた。白い肌が透き通る浴衣を素裸の上に着ているだけ。立て膝で「大僧正様のお酒ですよ。おひとついかが」とお酌され「なんたること。これも修行か」と下を手で押さえていたが、住職様のお酒を両手で盃にうけたとたん『チリ~ン』 あちらでも『チリ~ン』 こちらでも『チリ~ン』 それが千人『チリ~ン、チリ~ン』と大本堂ぜんたいに鳴り響いた。
まるで秋の高原、鈴虫の大合唱のてい。国兼さん、ここで一句いきたいねえ。
嵐のようなチリンチリンに大僧正が「近頃の若いもんはまったく」と嘆いていると、一人の若僧が目を半眼に開いて座禅していて、そこだけが鈴の音がしないではないか。うむ彼こそワシの跡継ぎだわいと、別室で「鈴を見せてくれ」というとなんと鈴が無い。
彼いわく
「鈴は、と~に振り切りました!!!」
■■志ん生は高座で、「このような噺は、しっとりとした雰囲気の中、自分もそのような気分の時だけしか演らないねえ」と、言っていたそうだ。
2013年2月4日月曜日
おいてけ堀・・・猫跨ぎ
昨日ヨーカドーへ買い物に行ったら、食品売場の一角で人だかりしている。何かと思いきや恵方巻とかいう太い海苔巻きに群がっているらしい。今年の恵方は南西とかで、そっちを向いて一本のまま食べるとか。関西の方の風習だったらしいが、目ざとくこちらでも流行らせようとしているのだろう。何より姿、形が見苦しいし、こんな馬鹿な習慣に簡単に乗る方も乗る方だ。世はかくも移ろいやすい。
最近、志ん生や円生のCDを聴きながら寝ている。途中で寝入るので最後まで聞いていない。他愛のない噺ばかりで布団のなかで笑っているが、志ん生の「おいてけ堀」という変なのがある。聞いていて気分が悪くなる異様な内容だ。
釣りをして釣果を持って帰る後から「おいてけ、おいてけ」と声がして、気味悪く置いて逃げる・・・というのはほんのマクラで、噺はとんでもない展開となる。
〈千五百石の直参の娘が、生後疱瘡を病み、そのあと事故で顔に熱湯をかぶり醜くなる。それが原因で母親が他界し、殿様は吉原の花魁を見受けし後妻とし、醜い娘をいじめる。殿様にかわいがられた若者が屋敷で暮らすことになるが、寒い夜に奥様に娘の部屋でお寝よと言われ、寝てしまう。子供ができてしまって、浅草の叔父さんの元へ駆け落ちするが、しまいには娘を捨てて消えてしまう。娘は恨みを残して自殺する。その後、娘の幽霊が出るようになった。〉
いやな噺である。女性を醜い女とあざ笑う台詞が連発。気分が悪くなる。怪談噺に括られるのだろううが、最後にどんでん返しがあると思いきや、全く救いがない。
しかしひと昔前まで、大衆はげらげら笑って聞いていたのだ。不幸、不運の末、転落していった少女の姿をあざ笑う嗜虐性も、落語は持っていたというべきか。今これを高座に上げたら、人権団体から抗議殺到だろう。しかしさて、どちらが人間性を抉っているか。正邪ではない。
最近、志ん生や円生のCDを聴きながら寝ている。途中で寝入るので最後まで聞いていない。他愛のない噺ばかりで布団のなかで笑っているが、志ん生の「おいてけ堀」という変なのがある。聞いていて気分が悪くなる異様な内容だ。
釣りをして釣果を持って帰る後から「おいてけ、おいてけ」と声がして、気味悪く置いて逃げる・・・というのはほんのマクラで、噺はとんでもない展開となる。
〈千五百石の直参の娘が、生後疱瘡を病み、そのあと事故で顔に熱湯をかぶり醜くなる。それが原因で母親が他界し、殿様は吉原の花魁を見受けし後妻とし、醜い娘をいじめる。殿様にかわいがられた若者が屋敷で暮らすことになるが、寒い夜に奥様に娘の部屋でお寝よと言われ、寝てしまう。子供ができてしまって、浅草の叔父さんの元へ駆け落ちするが、しまいには娘を捨てて消えてしまう。娘は恨みを残して自殺する。その後、娘の幽霊が出るようになった。〉
いやな噺である。女性を醜い女とあざ笑う台詞が連発。気分が悪くなる。怪談噺に括られるのだろううが、最後にどんでん返しがあると思いきや、全く救いがない。
しかしひと昔前まで、大衆はげらげら笑って聞いていたのだ。不幸、不運の末、転落していった少女の姿をあざ笑う嗜虐性も、落語は持っていたというべきか。今これを高座に上げたら、人権団体から抗議殺到だろう。しかしさて、どちらが人間性を抉っているか。正邪ではない。
2013年2月1日金曜日
金沢慕情・・・猫跨ぎ
何年か前、冬の金沢へ行った。街全体がしっとりと情緒に包まれ良かったね。金沢城で丁度雪が降り出し、足跡を付けながら歩いた。全然寒くない。残念ながら泉鏡花記念館が休館日。浅野川の橋からしばらく川面を眺めていた。
・金沢の川いつまでも雪を吸ひ
夜の街も風情がある。好きな街の一つ。
高校のサッカー部での平手打ち自殺事件に端を発して、スポーツでの体罰が大きく報道されるさなか、オリンピック女子柔道の代表選手たちの決死の(?)抗議で鬼軍曹ならぬ監督が辞任した。体罰はスポーツの世界では日常化していたのだろう。やむを得ないと黙認か公認か。勝つためのゆるされる必要悪みたいな。
しかし、駄目だという空気になったらざーっと世界は変わってしまう。テレビに出てくる面々は「体罰?いけないに決まっているじゃありませんか。自分に自信がないからだ。教える資格なし。」と良い子ぶっているが、勝ち馬につく姿勢ありあり。あの監督も良い面の皮で、血祭りに上げられてしまった。それにしても実直な熱血漢だったんだろうに。いきなり梯子を外されて、ひとり運命の大転換に悪夢を見る思いだろう。世の常識とかけ離れているとき、中枢にいる人間は見えない。あるときどんでん返しが来る。とにかく時代が動くとはこんな事なんだろうなと思った。
同じ日に、柔道の元金メダリストに判決が下った。言うもおぞましいが、種畜牧場の種馬みたいなのが柔道着を着ていたというしかない。馬に失礼かな。
・金沢の川いつまでも雪を吸ひ
夜の街も風情がある。好きな街の一つ。
高校のサッカー部での平手打ち自殺事件に端を発して、スポーツでの体罰が大きく報道されるさなか、オリンピック女子柔道の代表選手たちの決死の(?)抗議で鬼軍曹ならぬ監督が辞任した。体罰はスポーツの世界では日常化していたのだろう。やむを得ないと黙認か公認か。勝つためのゆるされる必要悪みたいな。
しかし、駄目だという空気になったらざーっと世界は変わってしまう。テレビに出てくる面々は「体罰?いけないに決まっているじゃありませんか。自分に自信がないからだ。教える資格なし。」と良い子ぶっているが、勝ち馬につく姿勢ありあり。あの監督も良い面の皮で、血祭りに上げられてしまった。それにしても実直な熱血漢だったんだろうに。いきなり梯子を外されて、ひとり運命の大転換に悪夢を見る思いだろう。世の常識とかけ離れているとき、中枢にいる人間は見えない。あるときどんでん返しが来る。とにかく時代が動くとはこんな事なんだろうなと思った。
同じ日に、柔道の元金メダリストに判決が下った。言うもおぞましいが、種畜牧場の種馬みたいなのが柔道着を着ていたというしかない。馬に失礼かな。
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