2013年2月10日日曜日

『流離譚』  ・・・褌子

    イカ墨がカラスの羽根みたいな色だからイカを烏賊と書くだとあるひと(女房)が教えてくれた。本当かどうか。“イカフライ”にはほんとうに驚いたね。写真の下の海の色もきれいだ。
   志ん生の落語の話があった。いぜんホロホロのメンバーにもコピーを配った記憶があるが、手持ちのCDの志ん生には火焔太鼓、三軒茶屋、替わり目、黄金餅、大山詣りが入っている。「鈴振り」は手持ちのカセットテープにあるのだがたぶんCDになることはないだろう。藤沢周平が「落語はききません。下品だから」と言っていた話を思いだした。
   これも猫跨ぎさんが紹介してくれたのだが村上春樹の『小澤征爾さんと、音楽について話をする』(新潮社)を半分くらい読んだところ。征爾と春樹という当代一流の日本人ふたりの対談記録。ぜんぶ自分などの知らない音楽の話ばかりが次々と出てくる。人間の世界にはこういう世界もあるんだなあ…としきりに感じ入っているところ。捨てずにまだ残してあったレコードもプレイヤーで何十年ぶりかに聴いてみるきになった。内田光子という日本人ピアニストを征爾が激賞しているのでベートーベンのピアノ協奏曲第三番のCDも欲しくなった。
  音楽とスポーツは昔から苦手だったなあ。熊さんのように合唱団にも入ったことないし楽器もさわったことがない。いま、体罰が話題になっているがスポーツも何となく古い精神主義みたいなところを感じて苦手だった。子どもの頃から中耳炎で左耳が全く聞こえないこともある。
  黒岩重吾『天の川の太陽』を読んで壬申の乱が何となくわかったような気になった。このころの朝鮮半島や唐との関係も。白村江の敗戦直後だけでも百済から三千人も亡命してきているんだね。『紅蓮の女王― 推古女帝』や『天翔ける白日― 小説大津皇子』も読み出したところ。
  ホロホロ会で飛鳥にいったときに小蔵ひでをさんが二上山に行きたいといったのをおぼえているが、ここに大津皇子の墓があるんだそうだ。二上山は行ってみたい。多武峰の談山神社も再訪したいところだ。
  黒岩重吾は「背徳のメス」などの現代人のどすぐろい欲望を描いたものに、むかし辟易した記憶があるが、奈良県の旧制宇陀中出身のひとで満州での戦争体験も持つ。大阪出身の司馬遼太郎とも似た経歴。1972年の高松塚古墳の発見などで自分の生まれ育ったところが古代史の舞台だったことに気付いて日本書紀はじめ猛烈に文献を読みあさって古代史を題材にした小説群を次々に発表した。こういう能力のあるひとがうらやましいね。
  きのう、90才のおばあさんの葬式にでた。30年前に亡くなったご主人の蔵書をたくさん去年もらったばかり。クロス装幀の鴎外選集とか魯迅選集、それに安岡章太郎『流離譚』など。安岡章太郎も先日亡くなりましたね。『流離譚』は安岡の高知の生家、土佐勤王党をだした幕末以来の家の歴史を描いた大作で、新聞の訃報では『流離譚』が代表作なんだそうだ。A3版の詳しい家系図が付録についている。

0 件のコメント:

コメントを投稿