・カルピスを飲む間も噴水砕けをり
カルピスはなぜあんなに美味しいかというと初恋の味だからである。
いまも小生がカルピスで胸がきゅんとなるのは、ポプラ並木でふたりで飲んだあの日をおもいだすからであろう。
そのてん浅田飴では胸きゅんはないのは仕方がない。
掲句は作者が、講義をさぼって札幌大通公園で初恋のひとと密会している場面だと思われるが、胸がきゅんとなるようなときめき感がないのがおしまれる。
・涼しとも秋涼しとも青畳
新しく青々とした畳こそ初夏にふさわしいが、今年は秋がきても猛暑に悩まされたから、畳替えをした喜びが伝わってくる。
・天窓は小さし秋の書道展
上をみたり下をみたり、作者はよくものを見ている証左。
小さき天窓からおりてくるほのかな光に浮かび上がり筆墨のかすかな香りまでしてくる。
・江戸絵図を腹這ひで見る夜長かな
池波正太郎でも読みながら江戸絵図をみているのか。
青畳に江戸絵図は、にあうね。
・指一本で足りる炊飯九月尽
むむむ… 愛猫のごはんでもつくっているのかね。
指三本では駄目ですか
・剣山の床に転がる寒露かな
奥方さまは華道にいそしんでいたんですね。
寒露にさみしさがでております。
剣山の針でぶすりと足をやられないように、床の間にしまっていただきたい。
・去ぬ燕紺碧一色しか見えず
虫一匹飛んでない澄み切った秋冷の空をこんなふうに表現するんだねえ
一色しか見えず、でなく肯定的な表現のほうがよろしいが
・穭田や遠き電車の音乾き
澄み切った秋冷の空をこんなふうに表現するんだねえ
しんとした時間の経過を感じさせる。特選
・焼芋の声の夜更けて木挽町
これは池波正太郎の世界そのもの
木挽町が一句を見事にしめた
・もう降りる駅に来てをり冬茜
冬茜がいいね。裸の木々のシルエットを浮き立たせる冬の陽。
初老期らしいアンニュイも少し。
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明日から三日間、都城での沙飛研究会に出席し、知覧を見学してくる。
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