2012年6月20日水曜日

嵐あけて仁句を鑑賞す・・・褌子

ゆんべの嵐はすごかったな。こんな時期にこんな台風がくるなんて。
 ・杜鵑斜めに考え過ぎてをり
杜鵑がホトトギスとよめず、杜若=カキツバタだと思ってしまった。
アオサギなどは田んぼのまんなかでひとりぽつねんと斜めに首をかしげて哲学者風に考えにふけっているが。託卵の悪癖があり夜中でもうるさく鳴くホトトギスは沈思黙考とはおよそ縁遠い。季語との配合に難点があるのではなかろうか。しかし、ホトトギスのあのキョキョッという鳴き声は万葉の時代から日本人の心につよい印象をあたえてきたようだ。
字引をひいてみたら霍公鳥・郭公・時鳥・子規・杜宇・不如帰・沓手鳥・蜀魂とあるわあるわ。喀血に悩む子規が、鳴いて血を吐くほととぎすから、自虐的に子規と名のったときいたことがある。
 ・朴の花天辺で停まる観覧車
準特選。
うごいているんだか、とまってんだかはっきりしないような大きな観覧車は風情があります。小生も観覧車にのってGさんとふたりっきりで下界をみおろしたかったなあ。夏山の高木の朴の木を渡る風もなかなか風情がありますね。
朴の花はタイザンボクみたいな白い大きな花だね。朴とトチの葉は有柄長楕円形で実に似ているがトチの柄のほうが複葉長柄で対生なんだ(しったかぶり)
 ・二人目の逆子体操花水木
逆子体操というのは? デンマーク体操ならきいたことあるが。  
 ・あふりかの天道虫や砂の色
アフリカといわず、あふりかと洒落たのが面白いが、いい線いってるが、何だろうもうひとつ余韻がない。あふりかといえばサハラ砂漠だが砂漠にもテントウムシがいるんだねえ。辞典には天道虫・瓢虫・紅娘・店頭虫いろいろあるが紅娘なんて愛嬌だなあ。いちおう特選。
 ・今朝のこと少しは薄れ夏暖簾
夏暖簾いいねえ。
今朝のことなんて婉曲話法でなくずばりいきたい。夏暖簾夫婦喧嘩も疲れるな  江戸川柳だと新婚さん 今朝のことちょっと疲れる夏暖簾 てな調子。うちは喧嘩するときには、仲直りのタイミングが難しいのでほどほどにしている。
 ・ときめきをそっと拾ひて落し文
ときめきと落し文が近すぎ。二物衝撃がおきないのが残念無念。一葉忌密かに拾ふ落し文(?)なら小生の場合ときめくなあ。落し文、なんとも味のある季語だな。
 ・筋肉の固まりだして七変化
面白い句材だが「固まりだして」がすっきりしない。
七変化が紫陽花の異称だから日本語は粋。
筋肉の固まる齢(よわい)七変化(?)
 ・すくすくと顕微鏡下やカビ胞子
カビが夏の季語だと知った。カビは陰性だから「すくすく」が似合わないのではないか。
徐(おもむ)ろに黴がはびこるけはひあり 松本たかしのパロディで、秘めやかにカビがはびこる縁の下(笑)
 ・半夏生右手届かぬ高望み
半夏生はいい季語だが、なんかもどっかしいね。右手届かぬと高望みとが同義語めいているせいか。
 ・白牡丹手入れ尽して鬚男
特選かもしれない。
手入れ尽くして…とか固まりだして…とか…でなく瞬間を切り取る潔さがほしい。
白牡丹手入れをつくすひげ男  とか単純明快ではだめですか

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