「宗教改革」の本場ドイツにもカトリックを信奉する地域が残っているとは知りませんでした。 外国で生牡蠣など二度と食べません。野外レストランで、つんと高い鼻にサングラスのフランス女性がアムール貝をテンコモリにしてしゃぶっているもんで、つい生牡蠣を頼んでしまった。
気をつけよう フランス美人 生の牡蠣
今回できた俳句はこれだけです。牡蠣は冬の季語だなあ。
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パリのまちは行ったことないが、経由したパリ空港の職員は4割ちかく黒人かもしれないという感じ。マルセイユはいつも青空で半袖でも暑かったがパリ空港は雨で寒い。【写真:田舎の道にローマ橋】
地中海の向こうのサハラ砂漠以北を全部植民地にしてさんざん搾り取ってきた過去をもつから、大量移民流入をおおかたのフランス人は許容しているのかも知れない。が、仕事がない青年たちは反感をもっているにちがいない。これがフランス右翼台頭の背景。(ドイツではネオナチがトルコ系の移民を襲撃したというニュースもいぜんあった。ヒットラーも一次大戦敗北後の不況で苦しむ民衆の支持で合法的に政権をとった。日本では格差社会で閉塞感をもつ青年たちが大阪の橋下市長を熱狂的に支持している)
先日のマルセイユからの発信でトラックが走ってないなどと書いたが、あれは日曜のせいだった。月曜日に、マルセイユ駅まで歩いてみたが、トラックがけっこう走っていた。店舗の改装現場を通ったがのんびりくわえタバコで仕事をしていた。子どもが多い(日本と比べてだが)。どこでも乳母車を父親がおしている光景がほほえましい。静かなカトリックのまちも保育所や学校からはにぎやかな子どもの声が盛んに聞こえてくる。肌の色に関係なく仲良く庶民の子供たちが街中でにぎやかに遊んでいる。 朝のマルセイユ駅はまさに人種のるつぼ。白人警官がイスラム系の男を身体検査しているのを目撃したし、ベレー帽迷彩服の兵士も小銃もって巡回している。自警団なのかセキュリテイと書いた赤シャツの黒人が二人組で歩いている。
マルセイユ港からはアルジェやモロッコ、チュニジア、コルシカ島などへの直行船便がでている。
こんなことを書いている黄色人種の私がいつのまにやら白人の目でアフリカ系移民を眺めていることに気づいた。ネルソン・マンデラ自伝『自由への長い道』ではアフリカ人の立場でアパルトヘイト打破に苦悩するマンデラを応援しつつ読み進んでいるところというのに。
電車に乗って小さな港町LesstacとPortDeBoucで降りた。銚子や勝浦みたいに港に漁船がみあたらない。魚の匂いも磯の香りもしない。ヨットが所狭しと係留され澄んだ水に浮かんでいる。バケーションで二ヶ月も夏休みになるとパリを空っぽにして南仏海岸へ舟遊びにくるということはこういうことなんだろうなと思った。
夕方7時頃、八百屋さんでサクランボ買おうと10ユーロ紙幣をだしているのに、もう閉店ですよとあっさり断られた。こんなに明るいのにと思ったが、24時間、電灯つけている日本式コンビニのほうが異常なのだ。
三日目、マルセイユからバスで一時間、昔、プロヴァンスの首都でもあったエクス・アン・プロヴァンスというセザンヌや小説家ゾラゆかりの町に向かう。美術館と聖堂そばの古いホテルに泊まったがドアは壊れているしお湯もすぐ停まるし蚊にも刺されたが素泊まり四千円。聖堂の鐘で目を醒まし、カトリックの国にきたことを実感する。かたいフランスパンをかじりながら窓からトチの木(マロニエ)やプラタナスの巨木をみる。
リュブロンという田園をジャンボタクシーで乗り合わせてまわった。ゴッホの絵にあるような麦畑、葡萄畑、ラベンダー畑にフランスは今も農業国なんだと実感する。ローマ時代の石の橋とエニシダの黄色。(食料自給率170%。日本は39%。TPPに加盟したら13%になる)【写真:農道わきにもマリア様】
運転手のクリス君は札幌日本語学院に留学していて、ススキノでバイトしました。道産子ラーメンは素晴らしいなんていう日本通。「フランスの核兵器所有に反対ですが、電力は75%が原発なのでもうやめられません…」とクリス君。日本みたいに地震がないからなあと私が知ったかぶりをしたら「いや百年くらい前に大地震がありました」という。
パリからきたおばあさんとクリス君の通訳で話をした。日本人だと知って、あんな遠い遠いところから来てたった四日間の観光で本当に帰ってしまうの!と目をまるくしていた。
四日目はセザンヌがイーゼルをかついで毎日小山にのぼり、プロバンスの名峰サント・ヴィクトアール山を何百枚も描いたという「セザンヌの道」を訪ねた。トロネという駅まで一時間、バスに百円くらいで乗る。途中でへたばって山道の真ん中で座り込んで汗をふいていたら、ハイキングにきた短パン姿の女性たちが「もうちょっとよ、がんばってね」と声をかけて降りてゆく。フランス語はぜんぜんわからないのだが目があうと必ずニッコリするので何を言ってるのかはわかるのである。【写真:サントヴィクトワール山】
サント・ヴィクトアール山が松林のむこうにみえてきた。セザンヌ、ゴッホ、ルノアールなど近代絵画の創始者たちもピカソやマティスなど現代画の巨人達もこよなく愛した南仏プロバンスの風と光。
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カトリックの国がプロテスタントの国民より怠け者なのか享楽的なのかは、正味たった四日間の滞在ではさっぱりわからない。しかし最近の日本人のほうがはるかにこき使われており、こせこせとせわしく生きざるを得なくなっていることだけは実感できた短い南仏の旅だった。
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