せっかく高尚な音楽談義のさなかですが・・。冷めたスープになるといけないので。
朝日新聞・オピニオン(2012.5.29付 13面) (インタビュー記事)
「自然エネルギーが開く未来」 NPO法人「地域再生機構」副理事長
平野彰秀(75年生れ 東大院修了 外資系コンサル会社を経てUターン 岐阜県石(い)徹(と)白(しろ)在住)
「・・戦後の経済成長の波が地域の特性をすっかり漂泊してしまった。若者は明日の豊かさを夢見て『こんな山奥にいてはダメだ』と都会に出た。そして50年がすぎ人口は約1/4に減り地区唯一の小学校は全校児童12人。過疎と高齢化に悩むありふれた農村のひとつになってしまいました」
「『失われた20年』で喪失したものを取り戻そうと躍起になってももう無理でしょう。経済成長を前提にした社会モデルに固執するのはやめて次の社会モデルを準備した方がいい。日本が次に目指すべきは『足るを知る』社会であり地域の特性を生かした地産地消型の自然エネルギーがカギになる・・」
「石徹白はまさにそういう社会だったんですよね。雪深く隔絶された集落なので食べ物はもちろん衣服や道具類も手近な材料でつくってきた。そして雪解けの春を迎えるころ『いいお天気ですね』と挨拶すると『ありがたいなぁ』と返ってくる。自らの手で暮らしをつくるからこそ『足るを知る』ことができる。そんな地域の知恵と精神性をもとに次の時代の社会モデルを実現させたいです」
「僕は自然エネルギーの普及だけを目標にしているわけではありません。より重要なのは自分たちの手で自分たちの暮らしをつくっていくという自治の精神、石徹白のひとがよく使う言葉を借りれば『甲斐性』を取り戻すことです。地域の特性を生かした地産地消型の自然エネルギーが普及すれば私たちの意識が変わる。問題が起きたら自分たちでどうにかするしかないのですから」
「たとえば石徹白の水車は羽根に地元の杉材を使い地元のひとがメンテナンスします。ゴミが詰まって水がうまく流れなければ気付いた人が取り除く。自然エネルギーは自治再生のとてもよい教材です。『おまかせ民主主義』といわれるような政治のあり方を変えていくきっかけにもなると考えています」
「・・国内市場が縮むなかいま行われているのは途上国に市場を求め先進国化させていくゲームですよね。日本はそんなことに血道をあげるより経済成長しなくても豊かに暮らせる社会をどうつくるかを考えるべきです。・・・成長を終えた国がどううまく持続可能な社会を築くのか、範を示すのです」
��豊かさってなんですか。
「信頼できるコミュニティ。人と人とのつながりがあってお金に頼りすぎずに生きられることですね。隣近所で融通しあったりする『おすそ分け』の経済があった方が安心でしょう。お金をたくさん稼がなきゃ生きていけないという強迫観念があるからみんなが利己的になる。経済成長しないと福祉がを担えないと国はいいますが共助で代替できる部分は少なくない。『独り占め』から『おすそ分け』へと価値観を転換させる必要がある・・」
「・・命に直結する一次産業が衰退する一方でなくなっても困らないような表面的な仕事ばっかりが増えている。そんな社会が果たして長続きするでしょうか・・」
補足:岐阜市中心部から車で2時間、山間の過疎地で一足先に水車で起こした電気で地域再生に取り組んでいる平野彰秀さんのインタビュー記事。評論家的に机上の理論だけを解説するのではなく実際にエリートの身分から決別して自論を自ら実践しているところが凄い。
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