2012年6月19日火曜日

六月仁句鑑賞・・・猫跨ぎ

率直な印象をいえば、今回はストレートに伝わるものがすくない。第一句の「斜めに考え過ぎてをり」が全面に覆っているように思えた。

・杜鵑斜めに考え過ぎてをり
 いきなり難解句。考えすぎているのが、杜鵑なのか、作者なのか。しかも斜めに考えるとあるので、ちょっとこれ以上は。くぐもった鳴き声からの連想とは思うが。
・朴の花天辺で停まる観覧車
朴の花と天辺で停まった観覧車の取り合わせ。朴の花にどんな想念が湧くかは各自に任されてはいるが、さて。
・二人目の逆子体操花水木
例えば娘さんが二度目の逆子を身籠もっているとか。逆子を正常位置に戻す体操と思われる。余談だが、一年前出産した娘が逆子だった。ついに直らず、それ専門の産院で逆子のまま通常分娩で無事 乗り切った。翌日見舞いに行くと娘はけろりとしている。女の身体は男には永遠に判らない。
・あふりかの天道虫や砂の色
 博物館で見たのかな。あふりかといえば、象牙海岸、奴隷海岸、黄金海岸という地名があったころを不思議と考える。これも余談。
・今朝のこと少しは薄れ夏暖簾
 夫婦喧嘩などありましたか。
・ときめきをそっと拾ひて落し文
 落し文って不思議な季語。無造作に転がっているのだけれど。
・筋肉の固まりだして七変化
 紫陽花の開花に筋肉の固まりを見たのかな。
・すくすくと顕微鏡下やカビ胞子
「顕微鏡下の」としないところに、思い入れがあるのか。上のあふりかの句もそうだけれど、「や」で切ると、ふつうは視点が別のことに転ずるのだが、この辺はどうなのだろう。
・半夏生右手届かぬ高望み
 む?変な想像をするが、まあ思い過ごしか。ちょっと心象的なものと理解しておこう。
・白牡丹手入れ尽して鬚男
 紺屋の白袴的な地合かな。本意がいまいち判らなかった。

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