福島事故以来、核と人間は共存できないなどとエラソーに言ってきたが、じつは原発がどんなものか一度も見たことがなかったのである。
市原からKさん夫婦とうちと二組で車で出かけた。菊川IC出口に逸徳さんが炎天下、待っていてくれた。
浜岡原発まで30分くらい車を走らせると中部電力の宣伝用の電力展示館が見えてきた。
一号館は風力などの自然エネルギー館だが、われわれのお目当ては原子力館。全景を見渡せる展望台に登る。遠州灘に面して巨大な五基の原発建屋が眼下にみえる。総発電量は五百万キロワットで東電柏崎刈羽に次ぐ。福島事故後に政府命令でむろん停まったまま。監視員がいて撮影禁止なので持参したカメラのシャッターを押せないのが残念。
福島の事故後にはじまった高さ21メートルの津波対策の防波堤の工事が今も続いているようだ。海上には原発の冷却水の取水塔が二基たっている。はるか彼方の東方に御前崎が見える。強風地帯らしくたくさんの風力発電塔がゆっくりと大きな三角羽根をまわしている。 展望台下の原子力館は撮影自由。圧巻は実物大の原子炉模型。沸騰水型軽水炉の高さ22メートルの威容に目が釘付けになる。【↑実物大原子炉を前に逸徳氏と】
東電福島第一では3基の原子炉全部が損壊し膨大な放射性物資が大気に放出され、四号基もふくめて毎日三百トンもの汚染水が海洋投棄され絶望的な汚染水対策が続いているが、むろんそんなことには一言もふれてはいない。実物大の制御盤、長さ4.5メートルの実物大ウラン燃料棒、制御棒も展示されていて百聞は一見にしかず。
逸徳さんが原発建屋がみえる穴場があるというのでぐるぐる車を走らせて、防波堤の一カ所にたどりついた。堤の上から五号基が遠望できるが海からの強風でたっているのもやっと。天気がいい日もいつも強風が吹いているという。過酷事故が起きたら放射性物質はあっというまに静岡市、浜松市に到達し、首都圏や中部圏一帯を襲うだろう。
菊川ICまで車中での逸徳氏の説明が面白かった。日本中の原発村は原発マネーでたくさんのハコモノをたてて、原発中毒というか人心が荒廃する依存症になる話はよくきいてきたが、地元でこつこつ反対運動をやっている逸徳さんの話はリアルでじつに興味深かった。炎天下、親切にご案内していただき、貴重な運動資料と静岡の銘茶までいただき、鯖味噌までご馳走になった逸徳さんに深甚から感謝の意を申し上げたい。市原市から同行したKさん夫妻も「すばらしいお友達ですねえ」と感嘆の声をあげておりました。
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