2013年8月9日金曜日

八月度仁句鑑賞・・・猫跨ぎ

  暑い。今日は殊の外暑い。網戸にして扇風機をがんがん回している。ちなみに私の小部屋にはエアコンなし。でもこれでしのげる。暑い夏を味わっている気分もちょっとある。
御当地は、今日は大雨らしいね。いやはや。

まず、通常の写生句から
・複眼の睨んでをりぬ今朝の秋
トンボがもう飛んでいるんだね。ふと目が合ったというところか。
・舳にも艫にも降りて星月夜
舳(へさき)にも艫(とも)にも、星が降るような夜か。星月夜は月がなくても星明かりで明るいということね。影絵のような風景。準特選句。
・迎へ火や風除けつくる二三人
門前で焚く門火。風よけに二三人がぐるりと囲んでいる。景の動きがよく見えるね。特選句で戴く。
・空港に人を送りて遠花火
空港へ送って行く、或いは送ったあとか。遠くに花火が見える。感傷的になるねえ。
・新涼や地下鉄降りた踵まで
地下鉄を降りたときに感じた涼気か。踵までが面白い。
・朝顔や青潔く滲み出る
朝顔の青の鮮やかさは本当に息をのむ程だ。

次に、個人的体験にやや特化した作。
・軍場の松籟夏の野外劇
いくさば。戦場のことね。昔の戦場に格好の松籟が鳴っている。野外劇が繰り広げられている。これも臨場感があるね。準特選。
・メビウスの輪になりかけて盆踊
踊りの輪がよじれてつながる妙な瞬間を面白く表現した。俳諧味がある。準特選。
・ひとりだけじじとは呼ばず孫の夏
じじの気持を察してくれる賢い孫がいてよかった。
・新盆や従兄弟はとこの顔知らず
これそうだね。核家族化が進行して、本当に日本中で起こっているんじゃないかな。

疑問符、気触れ、奉行所、カリヨン、苫屋の五句は、仁ワールドということで、解釈は遠慮しておこう。


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