2012年5月13日日曜日

初夏仁句鑑賞・・・猫跨ぎ

・一湾を周章てて下りて首夏の風
一湾とは海岸の湾入部のことと思うけれど、そこから下りるということがちょっと腑に落ちなかった。多分一湾を望む丘からということだろうけれど。首夏の風が何故周章てたのかもよく判らない。急な夏の到来に戸惑ったということかな。
・山笑ふファッションショーの歩き方
山の麓を歩いている人の形容というより、山が笑いながら歩いている様かな。ちょっとシュールな。
・理科室を残し卯の花腐しかな
これも言葉は易しいが難解句。理科室(のみ)を残すとはどういう状態を表現しているのだろう。
・凪の日や胡坐をかいた蠅二匹
蝿が胡座をかくというのは珍しい発見。特選。
・若葉風仕上げに掛かる船大工
一転し、素直な初夏風景。
・青胡桃鴉の知恵に任せをり
青胡桃とはまだ実になったばかりの青い胡桃。この句意は、成熟した後頂戴する鴉のひと工夫を思いやっているのだろう。いささか理に傾き過ぎた。
・ツーシームフォーシーム切れ青嵐
ツーシームとかフォーシームは野球の特殊変化球のことか。握りで縫い目の数のことね。
野球シーズン到来。しかし草野球にすでに浸透しつつあるのだろうか。
・きっちりと二十五センチ松葉独活
松葉独活ってアスパラガスのことね。しかしどうなんだろう、アスパラガスと記した方がいいと思うけど。
・ジーパンのださい膝穴夏はじめ
いまの若者はまったく。あの「美学」は判らない。
・ライラック遠くに潤む墳墓あり  
何回忌になるかな。

0 件のコメント:

コメントを投稿