2011年3月7日月曜日

それはむつかしい・・・・逸徳

��さんのこと。大変だなあ。記憶再生の問題は極めてむつかしい。たとえばよく知られている現象に「偽記憶」という問題がある。特に「偽りの自伝的記憶」とよばれる心理現象は専門家によってもしばしば研究されてきた。ひとつの有名な例が、スイスの心理学者ピアジェの自伝である。彼は発達心理学で有名でよく知られているのだが、その一部を次にはりつける。
「他人から聞いた話によって、実際に経験したこととして記憶を形成してしまうということもある。たとえば、私の最も幼いときの記憶の1つは、もし本当だったら、2歳のときに起こっていたはずである。15 歳くらいになるまでは、本当の出来事だったと信じていたある場面を、今でもはっきり思い浮かべることができる。そのとき私は乳母が押す乳母車に乗ってシャンゼリゼ通りにいた。そこで私は男に誘拐されそうになったが、幸い乳母車の止め紐が付けられていたし、勇敢な乳母が私を守ってくれて助かった。彼女は気の毒なことに、男と争ったために顔に少し傷を負った。そのうち人だかりがして、短いマントを着て白い警棒を持った警官が現れると男はあわてて逃げていった。私は未だにその一部始終を思い出せるし、その場所が地下鉄の駅の近くだったこともはっきり分かっている。・・・・・(だがこれが全部うそだったのだ)・・・私が 15 歳の頃、その乳母から両親宛てに手紙が届き、救世軍で働くことになったと知らせてきた。その手紙の中で彼女は、過去の過ちを詫び、そしてこの誘拐事件の後、ご褒美に贈られた時計を返したいと言ってきた。 実は彼女はこの事件を1人でデッチ上げ、顔に傷まで作っていたのである。つまり私は子どものときに、この乳母を信じきっていた両親から出来事の一部始終を聞いて、視覚的記憶として自分の過去経験の中に投入してしまっていたのである。」
 こういう偽記憶の出現は、もちろん本人が作為的にやらなくても出現してしまう。たとえば目撃証言の内容が、質問のやりかたで変わってしまうことなどがいい例だろう。つまり過去の現実の記憶と、過去についてのイメージは大変まざりやすいのである。

したがって、東京で、記憶心理学の専門家を探して記憶再生の相談をしてみるのがいいかもしれない。こちらでもいい人を探してみようかね。何かわかったらメールする。

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