パキスタンのナンガパルバートは世界9位の高峰だが、初登攀したのは1953年のヘルマン・ブールである。1970年に垂直の大絶壁ルパール壁をドイツ人 ラインホルト・メスナーとギュンター・メスナーの兄弟が初登攀した。この兄弟はドイツの誇る世界屈指の登山家だったが、登攀成功後、兄のラインホルトだけが生還したためにドイツ山岳会でも長いこと論争を呼んできたのだそうだ。
今夏、公開された映画『ヒマラヤ――運命の山』は兄弟の生い立ちから語り始め、2人そろってついにルパール壁を征服した後、ザイル不足で下山が不可能になり、弟が凍死、兄だけが両手両足を凍傷して倒れていたところを地元の狩人に発見されるところを描いている。
(絶壁にぶらさがりながら体温をうばいつくすすさまじい烈風、ひっきりなしの雪崩、植村直己がマッキンレーから帰ってこなかったのはこんな極寒の地獄であったのにちがいない)
人間はあらゆる苦労をのりこえて自ら地獄に突入していく不思議な存在だな…と思いながら観た。
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