・折られたる頁を元に半夏生
何気ないしぐさと半夏生の合性がいい。
こんなふうに歳をとっていけたらいい。
・早足の雲水片陰を行かず
片蔭…面白いことばをおぼえた。公民館の会合に大きな愛犬を連れてきた人がいて、 犬は太陽光をさけて片蔭だけに見事にうずくまっていて笑いをさそっていた。夏の葬 式でも最後の出棺となるとみんな片蔭に避難して霊柩車を見送っていた。
片蔭にゐる半分の会葬者 岸田稚魚
・氷水ほどの話も丁度果て
てんこ盛りの氷水もたちまちシャーベットになり腹におさまってしまう
若い恋人どうしを想像した。楽しかったなああの頃は
・裏山の少し疲れて盛夏かな
やはり盛者必衰。夏の終わりが迫っている
・夕涼や大皿を拭く骨董屋
こういうものに目がとまる作者の年齢を感ずる佳句
・へこみ易きアルミ空缶夏終る
どういわけか安部公房『砂の女』をおもいだした
・噴水のきらきら少年老いやすく
こんな頃があったなあ
・読まずとも曝す和綴の「養生訓」
貝原益軒の養生訓ですか。妙なものをもっているね。
もっているだけで長生きしそうな本だね
・椋鳥のまだまだ入る大欅
木にびっしりととまっている椋鳥はさわがしい。木のしたはフンだらけ。だが益鳥ら しい。夕暮れ時の大集団の飛翔ほど秋を感ずるものはない。
掲句に諧謔あり。断然一席。
・新涼や手足の熱き赤子抱く
赤ちゃんはあったかいね。ミルクの匂いもしそう。幸せとはこういう瞬間なのだ
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