2013年4月20日土曜日

杜牧『清明』 ・・・褌子

  一昨日は夏のような暑さで水のはいった田んぼで、カエルが一斉にないていた。ところが昨日、今日は冬のような寒さでストーブを焚いている。きょうは何となくもの悲しい気分になった。近所の独り暮らしのおじさんが、メガネの弦がはずれて朝から半日かけてビスを探したがみつからない…という電話。古いメガネと極小ドライバーをもってかけつけた。ビスをはずして弦をつけてあげ、メガネ拭きで汚れたレンズを磨いてあげたら大変な喜びよう。このおじさんは私よりひとつくらい年下のはず。東北の工業高校出て実業団の野球部で活躍したが、職場結婚の奥さんがエホバの証人(ものみの塔)で狂って自殺。彼も会社にいずらくなって退職してからはずっと貧乏くらし。おだやかな人柄のいいおじさんなんだが人生がついてない・・・
  午前は、安原老人宅に行って稚児ユリやめずらしいオダマキをたくさんもらってきた。安原老人はむかし原発などで稼いで豪邸に住んでいる。蜜蝋クリームをつくっている奥さんからもらった蜜蝋を先日、逸徳さんに送ってやったら静岡からお礼のメールがきたと奥さんが「立派なお友だちばかりですねえ」と感激していた。
  安原老人がいいものみせてやると、うやうやしく床の間の掛け軸をはずした。すわマッカーサーの御真筆かと思ったら意外にも、下からまた掛け軸がでてきた。なんと清朝皇帝の皇弟君の“御真筆”の達筆で杜牧の漢詩「清明」がしたためてあるではないか。要するに、入手の経緯を縷々書いた書面を私に校正してくれというのである。どうも「何とか鑑定」にテレビ出演をおもいたったらしいのだ。(本当に御真筆ならテレビで鑑定してもらうこともあるまいが) ほかにも鍋島や九谷などの逸品をたくさんみせられた。豪邸でやさしい奥さんと悠々と暮らすおじさんとゴミの山の中で歯痛や腰痛に悩みながら寝起きしているおじさんと、人生いろいろだなあ。
  「清明」     
淸明時節雨紛紛
路上行人欲斷魂
借問酒家何處有
牧童遙指杏花村

清明の時節 雨 紛々
路上の行人 魂を断たんと欲す
借問す 酒家は何処に有る
牧童 遥かに指す 杏花村
   

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