また春の嵐か。今夜は大荒れの予報。科学種が続いているのでもう一つ。
シュレーディンガーの「生命とは何か」(物理的に見た生細胞)が岩波文庫に入っている。この本は戦前の著作で、我々が学生時代に岩波新書で訳書が出ていた。斜め読みしたような気もするが定かではない。読み直そうと思って買い、まず巻末の訳者あとがきを読んだ。岩波新書版のそれが先にあって鎮目恭夫、岡小天氏のごく正統かつ真面目なもの。その後に岩波文庫版として鎮目恭夫が新たに書き加えたものが載っている。これが、また何というか。
��ュレーディンガーは例のシュレーディンガー波動方程式で量子力学教科書の最初の頁に出て来る人。この話とは全く異質な話であるが。
「普通の人の場合でも、本当の恋人同士が互いに相手の眼をじっと見つめている時、二人の思想と二人の歓喜はとは文字通り一つとなり・・・」。これは本書のエピローグに大まじめに記されている。
彼は青年時代から還暦ごろまで女性との関係においてなかなかのプレイボーイだった。32歳で結婚するが、その他に多少とも同棲した女性が少なくとも九名。子供を産んだ恋人が三名、中絶させられた恋人が一名いたという。伝記には「シュレーディンガーは女性が好きだったし、女性の真価を認めたが、女性に対する態度は男性至上主義そのものであった」とある。
閑話休題、この“歓喜”は今は「脳科学」の分野であろうが、シュレーディンガーの頃は全く未知の分野だった。この稀代の物理学者が、自分自身の歓喜の世界に立ち向かう姿勢を、いい気なものだと言うべきか、崇高と言うべきか。
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