いいなー!春の動植物がどの句にも散りばめられているのが羨ましいのである。函館は未だ名ばかりの春のままで今日は霙が降ってしまった。雪が歩道に無くなってから桜が咲くまでの一ヵ月半の間に寒波を伴って低気圧が幾つ通り過ぎて行くのだろう。曇天を見ながら恨み節が続くのである。
・志ん生の出囃子木の芽和すこし・・・出囃子と木の芽和えとのぶつかりが面白い。共に江戸情緒が滲み出てくる。最後のすこしで決めているのは上手さだな。
・たそがれの紅梅本朝水滸伝・・・こちらは紅梅と講談の取合せか。水滸伝聞いてみたいものだ。
・ショベルカーの砕く旧家や遠さくら・・・目の前の工事と遠くに見える桜との遠近法が北斎の絵を見ているようです。
・昏々と昼寝の男紫木蓮・・・昼寝と木蓮の季重なりか?
・鶯や指より落ちる文庫本・・・春のまどろみの中に鶯の谷渡りが聞こえてくる。縁側のある日本家屋の典型を想像してみたい。
・月おぼろ箪笥のうへの月球儀・・・箪笥の上に月球儀あるお宅は沢山はないね。
・木蓮の花びら重く落ちかかり・・・落ちかけの花びらに現実の危うさが集約されている様に感じた。
・青ざめた風吹き抜ける花菜畑・・・青ざめた風とは病的な何かを感じますがそこにも菜の花は満開している。これが羨ましい。
・バイソンの頭の重き遅日かな・・・春の日暮れが遅くなるのをバイソンの頭の重さに結びつける上手さに脱帽。特選。
・花冷えや線香点す信なき夜・・・信なき夜とはどんな夜なのか想像は拡がる。
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