近所の田んぼに水がはいり、気温があがれば蛙がなきだし、田植えももうすぐだ。ここ二三日は異様に肌寒いが。
猫跨ぎさんの古都吟行七句がいい。
紫雲英田や九輪の遠き法輪寺
わたしも晩秋の頃、富有柿をくいながら奈良をひとり歩いてみよう。れんげそうの田んぼも、ひつじ田となっていることだろう。
高橋和巳『邪宗門』上巻を読んだ。大本教への大弾圧を背景にした小説。暗い話。重厚な文体。昔、全共闘に信奉されたときいたことがあり敬遠していたが読んでみて高橋和巳がドフトエフスキー的な作家だといわれる所以が何となくわかるような気がした。下巻は本棚に見あたらないので同氏の『悲の器』を読み出した。世界的な刑法学者で次期(東大らしい)法学部長と衆目を集めている大学教授が末期がんの妻を抱えている。ところが妻の看護に頼んだ理知的な魅力をもつ家政婦に損害賠償請求されるというスキャンダルに見舞われるのである。モデルがいて実話らしい。
面白そう。権威の失墜に密かに喜悦する下賤な一読者にしばし身をおきたい。全共闘を支持したという高橋和巳自身も運動の末路をみることなく40歳前に早世した。
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