2011年2月17日木曜日

をち水・・・猫跨ぎ

をち水(復水、変若水)が万葉集に詠まれているのは、それ以外に、下記があるようだ。
��巻4-627)
わが袂まかむと思はむ大夫(ますらを)は変水(をちみづ)求め白髪生ひにたり
��私の袂を枕に寝たいと思う大夫は、若返りの水をお探しなさい。もう白髪が生えていますよ。
��巻4-628)
白髪生ふる事は思はず変水はかにもかくにも求めて行かむ
��白髪が生ていることは何とも思いません。とにもかくにも若返りの水を求めて行きましょう。
この二首は佐伯宿禰赤麿という初老の男と女性(不詳)との宴会で交歓した戯れ歌だろう。
因みに、をつ(復つ)は、もとに返る、若返るという古語。
もうひとつ、
��巻6-1034)
古(いにしへ)ゆ人の言ひくる老人の変若(を)つといふ水そ名に負ふ滝の瀬
��昔からずっと人の言い伝えて来た、老人が若返るという水であるよ。名に背かぬ滝の瀬よ。
これは、美濃国のいわゆる養老の滝のようなものへの挨拶歌か。

いずれも若返りの水を詠っているが、月は出てこない。いわゆる養老の滝のような名水が各地にあったということだろうか。
月にをち水があるとは、中国からの漢籍から得た知識か、また宮古島で採取されたように古来からの伝承があったかもしれない。
  似た話で浦島太郎の伝説をテーマにした歌が万葉にある。これも漢籍に載っていてそれからの受け売りという説が有力だが、南海にもそういう言い伝えがあるらしい。

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