漱石は大正5年12月9日に宿痾の胃病で没した。
漱石と狸穴とは何となく相性がいい。狸の穴で道に迷うというのも諧味十分
・初東風の屈折志功の眼鏡かな
棟方志功の凸面レンズはすごいな。板画を顔面すれすれに彫刻刀をふるう様が目に浮かぶ。だんぜん特選。
青森の風土と棟方志功ほど相性がいいものはない。【写真
・大寒やコルトレーンの夜に沈み
現代音楽音痴なのでコルトレーン氏が高名なサックス奏者だとは知らなんだ。
夜に沈み…サキソフォーンの低音と夜はまことに相性がいい。
・ひとつづつ蜆を食ひて大男
ユーモアがあるが、それがどうしたの。
蜆は春の季語。秋に宍道湖にいってシジミが小さいと上品な女将さんに苦情をいった我々が恥ずかしい。
先日の青森の赤提灯のしじみ汁は最高だった。色白細身の愛想のいいママさんにきいたら十三湖のシジミだった。
・ワイングラスの中を船行く冬至かな
なるほどね。どうしても季語は「冬至」でないとだめなんですか。
・ラグビーボール跳ねて転がり卒業期
そうか。青春だな
・茶箪笥に使はぬ紐と春の闇
セピア色レトロな味がある。江戸下町の味もある。
屈託をもてあましている老耄感と柔らかくみずみずしい春の到来感が激しく切り結んでいて深遠にして不条理な物語が出来してくる。準特選
・白梅の鉢提げスペイン坂下る
狸穴坂を登ったりスペイン坂を下ったり健康に誠に良い。
白梅の小鉢をさげている親父さんとスペイン坂の取り合わせが面白い。
シクラメンではちっとも面白くない。
・機長より遅延を侘びる余寒かな
うむうむ。今冬は機長泣かせだった。
・鰰の飯鮨を噛むや忘れ潮
忘れ潮とハタハタは相性がいい。青森深浦土産のハタハタの鮨は堅かったなあ。火にあぶってたべた。
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