2011年2月28日月曜日

春の仁句鑑賞・・・猫跨ぎ

・ 風呂敷の鹿の子絞りや水の春
鹿の子絞りの絵柄に水の波紋を見て、それを「春の雨」とやってしまうと近すぎてこういうのは良くない。水の春と遠回しに言うのがいいのです。
・ 薄氷の向こうに地球歪みけり
作句の意図は判るが、これは好みの問題だけど、直接環境問題とか匂わせるのはいつも引いてしまう。
・ 一分前発車ベル鳴る蕗の薹
逸徳氏と同じ感想を持った。発車まで蕗の薹を眺めていたのかな。
・ 鰊群来一粒ごとの宇宙かな
近くのスーパーに北海道で水揚げされた今春の鰊があった。卵が海藻にまとわりつく光景。
一粒ずつに命が宿っている。今はそんな風景が戻ってきたのだろうか。
・ バス停に今置いてきた春の夜
ということは、バスに乗ったあとは、春の夜は無くなったと。特別な夜であったとしてもちょっと分かりずらい。
・ 春の土五感の地図を塗り替えて
北海道の凍土から解放された春の土の感動は格別だからねえ。よく実感が出ている。
・ 囀りや右から左アラビア語
せわしない囀りとアラビア語の取り合わせが意表をついて面白い。
・ 道糸を二号に決めて春の雪
私も釣りは全く門外漢でだめ。逸徳氏と同じで、あんなに巧妙な仕掛けを駆使して、魚を騙し捕らえなくてもと思うねえ。
・ 冴返る永字八法なぞりけり
思い入れの句だけれど、一番まとまっているね。でも無難かな。
・ 蜆船頁をめくる閲覧者
これは問題提起句ですね。蜆採りの金網を船上に引き上げて作業している様が本の頁をめくっている風に見えたのかな。

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