福島第一原発から25キロの南相馬市に住んで40年前から原発の危険性を訴えてきた若松丈太郎さん(75才)の詩に驚いている。東京新聞によれば17年前の詩『神隠しされた街』だ。
こんかいの原発事故がもたらす風景を予言しているのだ。17年前の1994年といえばスリーマイル島事故(1979)チェルノブイリ(1986)のあとだが、東海村JCO事故(1999)の5年前である。
若松丈太郎さんは高校の 国語教師であったが1971年の第一原発の完成前から地元紙や詩人会の会報などに原発の危険性を指摘する文章を書いてきた。
「原爆のことが頭にあるから、これは怪しいものではないか、事故が起きたら大きな被害をもたらすものを人間はコントロールできるのだろうか、という思いがあった」と94年にチェルノブイリ福島県民調査団に参加し、帰国後に『神隠しされた街』を発表した。
以下は東京新聞5月8日号からの引用。
『神隠しされた街』
四万五千の人びとが二時間のあいだに消えた
サッカーゲームが終わって競技場から立ち去ったのではない
人びとの暮らしがひとつの都市からそっくり消えたのだ
��中略)
半径20㎞ゾーンといえば
東京電力福島原子力発電所を中心に据えると
双葉町 大熊町 富岡町
��中略)
そして私の住む原町市がふくまれる
こちらもあわせて約十五万人
私たちが消えるべき先はどこか
私たちはどこへ姿を消せばいいのか
��中略)
街路樹の葉が風に身をゆだねている
それなのに
人声のしない都市
人の歩いていない都市
��中略)
私たちの神隠しはきょうかもしれない
うしろで子どもの声がした気がする
ふりむいてもだれもいない
なにかが背筋をぞくっと襲う
広場にひとり立ちつくす
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