白黒のイタリア映画といえば「無防備都市」もよかった。バチカンはナチスのユダヤ人虐殺をわざと見て見ぬふりをしていたが、ローマを占領したドイツ軍とたたかって従容と銃殺されるローマの神父さんが印象に残る。レジスタンスの一員になってナチスとたたかったカトリック左派が、戦後になってカトリックの祖国の名誉を救った。
カラー映画になってからは、やっぱり『ひまわり』 ソフィアローレンとマストロヤンニ
庶民を戦後も引き裂く戦争の悲劇…出征した長男が戦死したと思って、長男の嫁を次男と結婚させて子供もできてまもなく、長男が命からがら帰ってきたという話は日本でもたくさんあったらしいが、「ひまわり」は最愛の妻とひきさかれて出征したイタリア兵士が凍死寸前にロシア娘に救われて夫婦にまでなってしまう。がソフィヤローレンがあきらめきれなくて、ロシアにまで夫を探しにゆくのだ。えんえんとつづくひまわり畑・・・
『ニューシネマパラダイス』
シチリア島の映画技師と少年の物語。鉄道員の坊やみたいに可愛い少年だった。
イタリアは日本と同じ敗戦国だから戦後まもなくは庶民もおなじく限りなく貧しい。そのころの映画が日本人の琴線にふれるのはそういうところもあるかもしれない。ヨーロッパからのアメリカへの移民のなかでもイタリア系がアメリカ社会の下層を形成しているらしい。アメリカ映画だが『ゴッドファーザー』はシチリア出身のマフィア親分一家の物語。
以上はみんなイタリア庶民を描いているのだが『山猫』はがらりとかわって、滅び行くイタリア貴族を大河小説風に描いている。監督のビスコンティも貴族の末裔。話の筋はなにも覚えていないが独特の茶系統の天然色だけが滅び行く貴族の頽廃にマッチして脳裏にのこっている。
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