国兼さんの写真付き旅行記は楽しく見事だ。とくに行奈さんの笑顔がかわゆいね。行奈さんの生き生きした話もよかった。行を「あん」と唐音で読ませるのがいい。行宮とか行在所とか。
行奈さんとアイヌの話をゆっくりしたいです。おとといドキュメンタリー映画「カムイと生きる」というのをみたばかり。浦川治造さんというすばらしいアイヌのおじさんが主人公。
菊池さんの名刺もらったのでみなさんの旅行記を郵送することにします。国兼さん小林さん行奈さんにくれぐれもよろしくお伝えください。
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・カッパ消え皀莢の莢捩れたる
遠野の旅に参加した人ならよくわかる句だ。
河童は愛すべきグロテスクな顔をしている。菊池さんが案内してくれた河童のでる川も楽しかった。サイカチのサヤは強くねじれていて堅い。黒ずんだ茶褐色でいまわがやの玄関にかざっている。
・穭田に忘れ鍬ありデンデラノ
デンデラノの語感が恐ろしい。なんの変哲もない原野みたいなところだが、六〇すぎた年寄りは…とあの話をきいてしまった以上、寒風吹きすさぶ深夜に独りでデンデラノに立つ勇気はない。「楢山節考」のような棄老伝説は信州北部の姨捨山だけかと思っていたら、貧しい山村にはあっちこっちに残っているんだね。
年寄りたちだけで筵がけした小屋に住み、山菜をとり共同生活をしながら死ぬときをまつ…現在の老人ホームも本質的には同じか
・柘榴熟れ坂を上がればダンノハラ
ダンノハラは罪人の首切り場だときいた。ダンは断首のダンか。江戸でいえば鈴ヶ森か小塚ッ原。水車小屋をみたあと、あそこらへんがダンノハラと菊池さんが説明してくれたが、ダンノハラの近所にも農家が点在していた。子供のころ提灯もって墓場の前を通って近所にお使いに行くのが怖かったことを思い出した。
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