2011年10月30日日曜日

秋の読書・・・・褌子

  山形旅行に持っていったが酒に酔って読めなかった山田風太郎『警視庁草紙』だが、帰ってきていっきに読んだ。
  めっぽう面白い。なんか面白え本ねえかなあというヒマ人に一押し。山田風太郎はむかし『八犬伝』『戦中派不戦日記』を読んでいらいだが、いま勢いにのって『魔界転生』にはまっている。このひとは司馬遼太郎の“英雄史観”がきらいだったんだね。池波正太郎は好きだったらしい。
  本屋にいって帚木逢生『三たびの海峡』も買ってきた。帚木逢生は『国銅』『ヒットラーの防具』『逃亡』などを読んだだけだがいい作家だ。辻邦生もいいが私にはすこしむつかしい。『安土往還記』『嵯峨野名月記』などめんどくさかった。『背教者ユリアヌス』『西行花伝』はいっきに読んだが。難しいといえば井上靖『本覚坊遺文』はむつかしかった。同じ利休ものでも野上弥生子『秀吉と利休』は両者の緊張関係がよくわかった。なぜ秀吉は自刃を迫ったのか? 先日テレビでやっていたが原作にはかなわない。
  酒田の藤沢周平記念館はよかった。『白き瓶』『一茶』などの小説も印象深いが、山田洋次監督の『たそがれ清兵衛』が、それも宮沢りえがよかった!これは原作よりも映画のほうがはるかによかった。りえちゃんのお手柄。
ところで藤沢周平も「あんなことを書いて大丈夫かな」と司馬史観に批判的だったそうだ。
  それから土門拳のいちばん豪華な写真集も13674円くらいで買ってしまったので夜半秘かにながめている。井上靖が土門拳の仕事への熱烈な讃辞をよせている。土門が過褒だと照れているのが面白い。

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