佐渡から帰ってきて四日分の日記をつけていたら4年前の10月13日の項に「北海道で例年より10日はやい初雪、函館に引っ越したばかりの仁ちゃん寒かろう」とあった。そのすぐあとに、ほろほろ会の旅行は近江路とある。三年前の10月18日は函館をへて里塚霊園で五本さんの墓参り。二年前は高野山へ。きょねんは石見銀山だった。五年前は飛鳥路だ。楽しかったね。いままでの旅行ぜんぶ正確に順番にいえる人には山形で背中をふりちんで懇切に流してあげよう。
仁ちゃん紹介の句では
・ 滝壺にながき一瞬経て落ちる 佐藤雄志
が一番いいと思った。が、どこか既視感ある句だ。
林だったか長谷川なんとかとかいう俳人だったかが、滝のあたまにぬっと水がでて落下する刹那をよんだ句がある。あれはいい句だな。猫跨ぎさん、えーとえーと誰のどんな句だったっけ。
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・虫の音やカチリと自動販売機
カチリに秋冷いたる感あり見事。夏の炎天はカチリではない。準特選
・菊供養海を見つめる友のゐて
そうだね。秋愁だね。
・長十郎読経の鈴は収まらず
収まらず…時間が動いている。瞬間トリミングだとどうなるか
・六道の辻まで溢れ草の花
地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天が六道。いくら新鮮みずみずしくとも年食わんと読めない句だ。
・やはらかく小骨をとりて秋の暮れ
どこにでもありそうな句だが、なにもかまえず何も工夫してないのがよい。これが生きるということなのだ。特選
・初紅葉レジ待つ列の大男
コンビニで目に浮かぶ光景だね。この大男、革ジャン着ている。バイクのキイ振り回している。買うのは肉まんビザまん。
・追分を唄う木箱や林檎売り
哀愁がある。晩秋のいい光景だ。
・するすると子冬将軍降りてきて
そうか。もう函館はそんな季節なのか。するするとが面白い
・北時雨うしろ振り向くジャン・ギャバン
北時雨とジャン・ギャバン絶妙ではないか。こんな映画があったんだ。この遠い日の記憶が作者の脳裏にふと湧き出たんだ。
・皿石の千古のへこみ櫨紅葉
櫨=はぜ、は妙高山でも真っ赤に紅葉していた。せわしく移ろいゆくものと千古動かぬ石との組み合わせ。
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