冬将軍という言葉も懐かしくなってしまったが、北の地は明日からますます厳しいらしい。こちらでは寒い寒いといいながら、芯から冷え込むなんてことはない。
それもあらぬか、今回の仁句は、一読、寒さが沁みるね。いささか沈鬱な気分が漂う。
・買ひ迷う十年日記夕暮れて
深読みは止めよう。ところで十年日記なんて、同じ装丁を毎日見るもの面白くない。せめ て三年日記くらいで気分を刻んだ方がいいんじゃないかな。ところで私はパソコンに一行日記をつけて5年になる。検索できるから便利。散髪へ行く頻度も教えられたりして。
・年忘れ百の話題を散らしけり
忘年会のとりとめのない話題のあれこれ。あれこれ話題沸騰で、明日になると皆忘れている。これがいい。
・すべり込む新幹線や冬木の芽
これは、新幹線青森延伸の挨拶句かな。
・風呂吹きやゆるりと出汁の染込んで
出汁(だしじる)なら、中七に納めるには
風呂吹きやゆるり出汁染込んで
じゃないかな。冬大根の出番だね。
・逆さまに話し詰込み冬帽子
脱いだ冬帽子のさまを詠んだか、あべこべに理解した頓珍漢を嗤うか。
・水中の熊の目細くなりにけり
プールで季節到来とご機嫌な白熊かな。
・氷切る星の産るる欠片かな
氷を切るときの欠片が飛び散るさま。星の誕生をイメージしたか。ただ「氷切る」なら、夏の氷屋を連想する。「氷割る」が北海道の冬じゃないか。
・寒に入る律儀な人の減りゆきて
まあ、昨今減ったね。律儀者の子沢山が減って、少子高齢化なんだ。
・吸入器汽笛鳴らして寒の空
喘息持ちとしては、実感が迫る。そう、蒸気機関の喘ぎなんだね。
・骨壷の蓋閉じられてしずり雪
垂り雪が眼目だね。蓋閉じて、永訣だ。
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