2011年8月22日月曜日

『おじいさんと草原の小学校』・・・褌子

  二三日涼しいのでありがたい。
  東京も涼しかろうと、上野の国立博物館で「孫文と梅屋庄吉」展をみた。そのあと上野駅のパンダ口の例の飲み屋さんでジョッキーでビールを飲みながら『溥儀の最後の忠臣工藤忠』を読んだ。やはりこの店はほろほろ会のめんめんと来て焼き鳥で飲んだ方がいいと思った。それにしても小蔵ひでをさんはこのような安くて小綺麗で駅からちかい飲み屋を発見する天才的な才能の持ち主で本欄をかりてその偉大な業績をたたえて深甚の感謝をもうしあげたい。まあ、いつぞやの鹿児島の赤提灯の色白の百合子ママのようなおかみさんと世間話をしながら飲めばもうもう最高なのだがそんな贅沢はいうまい。
  上野駅もすっかりハイカラになったものだ。一七番線の上越線ではじめて東京にきた私のような田舎ものにとって上野駅は文字通り東京の玄関だが、伊沢八郎の「ああ上野駅」の面影はなくなってきた。
  駅構内の本屋で白川静博士の『字通』『字統』『字訓』をみた。ぜんぶ買うと四万円くらいか。金がないし、リュックサックでもないので諦めた。『字訓』は中国から輸入された漢字にどう日本式の訓読みをあてたかを一字一字、白川博士がうんちくをかたむけて説明してあり、こういうのを独りベッドでぱらぱらめくりながら酒を飲んでいるうちに突然息絶えるのもいいなあと思ったが、やはり重そうなのでやめた。
  そのあと地下鉄銀座線に乗り、三越前で半蔵門線に乗り換えて神保町で下車。佐渡島生まれの田舎ものが江戸の昔から東京を知っているみたいな顔で地下鉄を乗りこなすのである。いまもし巨大地震で電車がとまり停電で真っ暗になったら…と一瞬思ったがそういうことは考えないことにした。ビールのほろ酔いのせいか、
  神保町の岩波ホールで『おじいさんと草原の小学校』をみた。すばらしい映画だ。84才のマルゲじいさん(文盲のケニア独立の闘士。世界最高齢の小学生としてギネスブックにのったそうだ)のように、いつまでもこつこつ勉強しなくてはと決意した。

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