ふと思い立って昨日、上田の無言館へ出掛けて来た。天気は快晴、風もなく落葉を踏みしめながらの一日。
無言館と分室、やや離れて信濃デッサン館の三館からなる。ぽつりぽつりと人が訪れる程度で静寂につつまれ良い雰囲気だ。一通り見て外へ出て前庭の椅子に座って持参の握り飯を食べているとふいに涙が出て来た。
それぞれの過酷な運命をいまさら喋喋しても始まらないが、何というべきか、ここにあるのはいきなりへし折られた青春そのものだ。それがそのままの形で止まっている。それが痛切に胸を打つ。
信濃デッサン館は村山槐多とか関根正二、小熊秀雄らの言うなれば夭折の画家達の小品を集めている。(槐多の有名な「尿する裸僧」は近代美術館に貸し出し中とか。)
あわせて、ここは青春の美術館だ。反戦のシンボルと見る向きもあるが、それとはやや違う印象を持った。館主の窪島誠一郎氏もそういう考えらしい。
上田電鉄にゆられて塩田平の秋色に包まれる山並みをながめて、しみじみとした爽やかな一日だった。
景色に山があるのは見る人を安心させる。山のない千葉と比べて改めてそう思う。
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