両氏の下の発言は読まずにそのまま感じたことをかきます。
・・・
・書架ひとつ空つぽにしてセロリ噛む
重々しい冬が去って春がきたという感じがある
・風光る嬰に小さき盆の窪
嬰児のかわいい笑窪?
・靴箱の暗がりにある余寒かな
余寒と靴箱の暗がり。何にも説明いらないが確かにそこに残寒がある。
・歩兵軍曹吉田某の碑いぬふぐり
軍曹とか伍長とか上等兵の墓がわが家の近くの釈蔵院にもたくさんあるが、みんな 若くして戦死。苔がはう墓は何ももの言わぬが、かつて確かに親が嫁が子どもが涙 をこらえてたてた墓。いぬふぐりが侘びしさをさそう
・梅林を出で顔のなき街歩く
顔のなき街。たしかに最近そんな街ばかりだ。
・鶯や硬貨嵌めたる爺の耳
偏屈なじいさんだな。ウグイスの可愛い鳴き声との対比がなんとも愉快
・薄氷の一つを除けて手水かな
しんとした閑寂。
・線描の子規のへちまの日永かな
きもちがのんびりとする。糸瓜ののびやかな線描画。
へちまに子規を冠して一句の興趣が一段と増したか。いや子規とへちまは近すぎるか
声をだして読むとまことにいい句だ。特選
・春めくや万能ナイフ使はざる
こんなふうにするすると五七五になってでてくるんだね。四苦八苦の様子が微塵も みえない。天賦の才か。天才とは努力しうる才能であるとはいうけれど
・春陰や釘箱にある歩数計
春陰=春の曇りがちな天気
おだやかな日常のなかのゆっくりとして時間の経過
万能ナイフとか釘箱とか歩数計とか何でも句材になるんだなあ。
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