2012年1月13日金曜日

歌会始 ・・・猫跨ぎ

三膳飯を食わねばならぬ理由が特に記されていないのを遺憾とするが、まあ米食を愉しんでいるのは
欣快にたえない。

一昨日皇居で歌会始があった。テレビ中継はうっかり失念したので、新聞を見る。今年の題は「岸」。
皇族のなかでは毎年、美智子皇后が図抜けてうまい。毎年感心する。
・帰り来るを立ちて待てるに季(とき)のなく岸とふ文字を歳時記に見ず
��津波による行方不明者や戦後の引き揚げ者ら、時代を問わず各地の岸辺でだれかを待つ人に思いをはせたという)と解説にある。

選者の作で印象に残ったのは永田和宏氏(細胞学者。去年逝った故河野裕子氏の夫)
・舫ひ解けて静かに岸を離れゆく舟あり人に恋ひつつあれば
やはり、相聞歌というべきか。

入選歌に奈良県 山崎孝次郎氏(72)の作。息子が出張地で被災した時に詠んだ。
・相馬市の海岸近くの避難所に吾子ゐるを知り三日眠れず

福島県の澤邊裕栄子氏(39)は震災後の海辺の状況を詠う。
・巻き戻す ことのできない 現実が ずつしり重き 海岸通り

茨城県 寺門龍一氏(81)
・いわきより北へと向かふ日を待ちて常磐線は海岸を行く

歌会始の入選歌は庶民の素朴な呟きというのが特長と思われる。つまり技術的に高い震災の苛烈さを詠った歌の応募は沢山あったと思われるが入選していない。

最後に天皇歌は
津波来(こ)し 時の岸辺は如何なりしと 見下ろす海は 青く静まる
これもいいと思う。

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