「だから人間は生きなければなりません」の結論に行くために、自然科学で得られた諸知識を援用している。いや、それはそれで結構だが、そういう事なら数千年前の釈迦やキリストはいかなる予備知識なしに気付き皆に伝えた。自然科学はそういう観点から言えば現代の宗教といえるのかも知れないなあ。
新年早々、褌子氏のトークは熱を帯びる一方だ。
暗黒物質とは、今のところ痕跡ほども実在を確かめられていないのに、そう言うものを仮定しなければ宇宙の構造を説明できないということから提案された。
湯川博士の中間子論だって、そういうものを仮定しなければ原子核構造を説明できないということから考えられた。後になって中間子が実験的に証明されてノーベル賞となった。暗黒物質は、我々の物質界とは異なるらしいから証明は一段とむずかしかろう。空を掴むような感じがする。まあ物理学の残された最後の大きなテーマなんだろうが。そういう事柄を構想すること自体が、不思議だという話に逆戻りする。
マクロな宇宙論とミクロな素粒子論はセットで議論される。その素粒子論研究に欠かせないのが加速器。ところで直線形の加速器として現在計画中の国際リニアコライダー「ILC」構想があるらしい。従来のサイクロトロン形式では電子や陽電子をカーブさせるときにエネルギーが多く失われ、十分に加速できない。そこで提案されたのが、電子と陽電子を「直線的に」加速して衝突させるILCである。地上に「ビッグバン」をおこし、宇宙のなぞを解き明かす巨大な素粒子実験装置である。ヒッグス粒子とかの証明実験を高精度で実施できるとか。円形型では世界最大がスイスのCERNの装置で一周27キロm。このILCは11キロmという。これを日本に誘致しようとする計画がある。候補地として佐賀県と岩手県が名乗りを上げているとか。新しい雇用も期待できるというから実験装置というイメージを遥かに超えている。建設費7000億とも。鉛筆と紙で成立する世界ではとうになくなっている。そういう段階なんだ。
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