■年末にTVでみた東大数物連携宇宙研究機構長の村山先生の話を簡単に紹介する。
宇宙は原子から出来ていると思っていたが、2003年を境にその認識が変わった。宇宙のなかで人類が知っている物質(原子)は全体の4・5%しかない。約23%が暗黒物質、約72%は暗黒エネルギー。ハッブル望遠鏡や電波望遠鏡でみている星と銀河は0・5%未満。宇宙をしめる9割の正体が人類にはまだ未知なので暗黒物質、暗黒エネルギーと呼ぶことにした。
■なぜ、光や電波では見えない暗黒物質、暗黒エネルギーが宇宙に満ちているとわかるのか?
たとえば、地上をコンパス(方位磁石)をもって移動すると大きく針がふれればそこに地磁気を乱す磁石があることがわかる。宇宙観測でつかうのはコンパスでなく光だが、宇宙の遠くの星雲からの光が重力で曲げられる「重力レンズ効果」を調べると、強い重力の源である未知の暗黒物質の存在を示す証拠が次々とでてきた。
銀河や銀河団は、実は暗黒物質の集まりのなかにちょろちょろっとあったのだ。暗黒物質の重力がなければ、宇宙に銀河も太陽系も生まれないし、太陽系も天の河銀河にとどまっていられないのだ。
■ここで大きな謎がある。
137億年前のビックバンで膨張する宇宙の総エネルギーは、暗黒物質や銀河など観測できる物質のエネルギーを合算してもぜんぜん足りない。その引き算をしてでてくる未知のエネルギーが「暗黒エネルギー」である。
■アインシュタインの重力法則では宇宙の膨張速度は宇宙空間のエネルギーで決まる。 宇宙が膨張すればするほどエネルギーは薄まるので膨張速度は遅くなるはず。
ところが驚くべき事に、1998年の観測結果で70億年前から宇宙が加速膨張していることが昨年ノーベル賞を受賞したパールミュッター、シュミット、リース博士らの発見で明らかになったのだ。
宇宙が加速膨張しているなら、宇宙全体のエネルギーは薄まるどころかどんどん大きくなっているのだ。だからこの宇宙の約72%が未知のエネルギーすなわち暗黒エネルギーで満たされていると考えるしかない。
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