2012年1月12日木曜日

仁句鑑賞・・  褌子

    仁ちゃん、年末年始と本当に大変でしたね。お悔やみ申し上げます。
  「生命とは」と発言したのが12月13日だったが、それから2週間後にお義母さんがお亡くなりになりました。喪主とは本当にお疲れ様でした。
―――――まったくの余談だが、おたがい婿殿は大変ですね。
  わたしなどはいつも、ご飯は三膳以下で遠慮している。文字通り名実ともに女房に喰わせてもらって子供までお産みいただいているので、肩もみなど年中やらされております。そのてん小蔵ひでをさんは社長様だから三膳くらい平気で食しているんだろうなあ。
  さて、猫跨ぎ句で「壜の罅」を仁ちゃんも私も特選とした。期せずしてビミョウかつ鋭敏な感覚の持ち主どうしであったことが証明されました。

・添書きの中に友居る松の内
うんうん、そうです。パソコン仕立ての無味な年賀状の添え書き部分だけ読む。細部に神やどる。
・青シート屋根に残りて大旦
   地震で瓦が割れて青シートで雨漏りを防いでいるのか
   大旦は「おおあした」と読むんですね。   
   新年早々また利口になってしまった
・はんぺんの一番に消え寒の空
   落語的風景がまことに俳諧的。はんぺんは駿河の料理人半平の創作によるのだそうです。
またまた利口になってしまった
・まゆ玉や緊急避難指定地区
   特選。まゆ玉という正月ののんびりした風物詩と地震・津波の避難先との緩急対照的。
・長押からじっと見詰る雪の音
   三味線がきこえてくるね。三つ指ついた中年増が、おひとつどうぞと熱燗で…
・野水仙黄門様の杖の先
   黄門様と水仙はすっごくあいます。黄門様の長年のテレビも終わった
・北国の時計の遅し日脚伸ぶ
   時間は、ひと様々で早くなったり遅くなったりするが、冬至すぎれば確実に春はくる。
・文庫本一枚捲りしづりかな
   辞典に、しずり=垂り=木の枝につもった雪が落ちることとあった。
   ゆっくり時間が流れているね。準特選か特選級。春も近そうだ。しずりの音が聞こえる。障子に日がさしている。 
・固い雪固い字のままチェックイン
寒いとボールペン持つ手も悴んでいる
・寒の入九十歳の骨砕く
これはもうお義母さんのことだね。

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