2012年3月11日日曜日

猫跨ぎさんの句をあじはふ・・・・・褌子

  きょうは3・11一周年。

・茶を啜る雪の匂ひの男たち
   雪の重みでぎしぎし家が悲鳴をあげて、男たちが毎日雪下ろしで疲れ果てている   景を想像した。
・通されて四面襖や漱石忌
   広くて古い家だね。
・判子屋の判子に埋まる余寒かな
   ハンコがびっしり並んでいる印鑑屋。小さな石油ストーブだけで店内なんとなく   肌寒い。
・手に障る帯紙捨つる啄木忌
   啄木のもの悲しい雰囲気
・イスラエルの青き柑橘寒明ける
   「青き柑橘」に紛争の地の緊張感、そしてユダヤ民族の強靱一徹の選民思想。イスラエルの国旗は青地の真ん中にダビデの紋章があって、上の横白線がナイル川、下の白線がチグリスユーフラテス川でこのふたつの川の間の土地はすべてカナンの地、つまり、神がアブラハムとその子孫に与えると約束した地と前13世紀ごろの大昔の話をもって、イスラエルの民が定住した土地だから、パレスチナ人の土地ではないと主張するんだからなあ・・・特選

・寒明けや父の紙縒(こより)の袋綴
    平和っていいなあ。イスラエルの青き柑橘句のあとにはひとしお 
・紅梅や待合室に誰もゐず
    ちょっと寒いがやっぱり待望の春はきたんだ。
・ふらここを夕日背負ひしまま降りる
    昭和20年代の景。何となく寒くいつも腹減っていた。夕餉のにほいがしてきた
    ふらここ=鞦韆=ブランコ=ふらんど=ゆさはり=半仙戯
    鞦韆ときくといつも思い出す句は、三橋鷹女
       鞦韆は漕ぐべし愛は奪ふべし     
・春ショールして落陽の匂ひかな
    なんとなく昭和30年代の田舎町のおばさんの角巻姿を思い出した
・黙祷は何も祈らず沈丁花
   震災で身内を失ったひとびとに何もいうことばがない。沈丁のつよい芳香だけ

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