四年に一度の2月29日、大雪のなかを中野ゼロホールで映画『ここに生きる』を鑑賞した。
熊さんが主演主役の映画なので本当にびっくりした。
品よい無精髭、白髪まじりの熊さん、39名のバスの中心で第九を歌う蝶ネクタイ、タキシード姿の熊さん、ソプラノやアルトを声を限りに歌う延岡美人のおばちゃんたちにずらり周りを囲まれてご機嫌の熊さんが大写しで何度も何度もでるではないか。
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もっとも、主演主役は熊さんだけというわけでは決してない。第26回のべおか「第九」を歌う会の全員が主役である主演者なのだ。そのなかには80才過ぎたお爺さんもいれば、ひい孫くらいの女子高校生もいる。
さらには人口20万弱の延岡市民がみな主演主役といってもよい。第九の合唱をバックに延岡の四季のすべてをカメラは追いつづける。延岡の海も川も田んぼも山も鎮守の森のカエルも苔むした古城も町なかの猫も、そして旭化成の高い煙突もみな主演であり主役なのだ。
宮崎県は口蹄疫、鳥インフルエンザ、新燃岳の大噴火に次々と襲われた。そして、やっと映画の撮影がはじまったとたん、東日本大震災、原発事故が起こった。鎮魂の意味もこめて堀有三監督はこの映画を撮影し続けたと、大勢のキャストやスタッフとともに壇上で語った。
この映画は日本中の地域に今を生きる人々への賛歌である。
日本で最初に公開された素晴らしい映画を最前列で鑑賞することができた。
熊さんありがとう。
國兼さんが豪雪で出てこれないので、中野駅ちかくで宮城浦霞の熱燗を独りで3合飲んだ。
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