2013年1月6日日曜日

音楽の本・・・猫跨ぎ

  音楽の本で去年読んで面白かったのは、「小澤征爾さんと音楽について話をする」(小澤征爾・村上春樹;新潮社)。対談集だが、村上春樹が理解しやすく一貫性を持たせ書き下ろしている。小澤征爾は活字の人ではないので、これまで音楽のことについての著作はないはず。村上春樹の玄人顔負けの音楽通には舌を巻くが、それにしても巧みに話を引き出していると感心する。カラヤンやバースタインなどへの師事の様子、思い出話、名だたる演奏家との交流、世界各地の交響楽団との演奏活動などが語られ、実に興味深い。
  印象に残ったのは、演奏会の前にスコア(楽譜)を微に入り細にわたって徹底的に読む作業を行っていると言うことだ。音楽を理解するには材料はそれしかないわけだから当たり前かもしれないが。勿論それは全部頭に入るわけだから、我々の想像を越えているのではあるが。幾つか協奏曲、交響曲について詳しく語られる―とはいえ、こちらは何となく判ると言うしかないが。
それから、この人の何というかニコニコと屈託なく相手とうち解ける、すぐ旧知の間柄になってしまうような人柄だろうね。これもまあ天才的だ。とはいえ、N響との相克はあまり詳しく語られていない。

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