2013年1月5日土曜日

音楽と文学・・・褌子

  正月も終わった。
  城山三郎の短編集『硫黄島に死す』を読んだ。
 城山三郎は海軍の少年兵として17才で敗戦を迎えた。
 すぐれた短編の数々に、少年兵達が毎日のように上官に殴られながら祖国の勝利を信じて空腹に耐えながら訓練に励む姿が描かれている。14才の少年兵がグラマンに襲われて死んでいく姿に思わず涙してしまった。
 うちの孫も14才だ。
 城山三郎は、第一次安倍内閣の教育基本法改悪、個人情報法保護法などが言論統制、軍国教育への道につながると訴えながら亡くなったが、憲法九条改定までもくろむ現安倍内閣に対して城山が生きていたら激しく警鐘乱打することだろう。
 ―――――話はかわるが「しんぶん赤旗」で作曲家の池辺晋一郎と作家の高樹のぶ子が音楽と文学の関係について新春対談している。私は九州の熊さんと違って音楽に関する造詣はゼロなんだが以下のくだりが面白いと思った。
・・・・
  高樹「私は音楽と文学にすごく共通項を感じていて、でも音楽の素晴らしさを文学で表すのはとても難しいです」
  池辺「音楽は抽象的ですものね」
  高樹「私は、音楽の3要素であるメロディとハーモニーとリズムを小説に置き換えていくんです。メロディは小説のストーリー、ハーモニーはテーマ、リズムというのは文章なんですね。文章が音楽的かどうかというのが、私にとってはすごく大事なことなんです」
  池辺「僕はハーモニーというのは、文学作品の登場人物の関係だという気もします。人物の相関図が緊密だったり疎遠だったり、ググッと集約されたり…」
  高樹「ああ、そうかもしれない」
  池辺「僕は作曲を学んでいる学生に、無責任な音を書くなと言うんです。音も小説や戯曲の人物と同じで、ストーリーの中でちゃんと動かしてやらないといけないんですね」…
 …音楽の三要素の意味もよくわかっていない自分だが、何となく今年は高樹のぶ子の作品『マルセル』など読んでみたくなった。

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