2013年1月9日水曜日

中国事情・・・猫跨ぎ

  それとなく中国の様子をネットで見ているが、あれ?と思うことが頻繁に続いている。去年年末、寧波市で大規模な反対デモが起きた。当地には中国有数の石油化学工場があるが、そこがPET原料のパラキシレン増設計画を発表した。ところが環境問題への何の説明もない、発ガン性の恐れがあるではないか、という抗議がたちまち大きくなり近隣地区も巻き込んだ反対運動に膨れあがったというのである。ついに計画の一時中止、再検討を余儀なくされた。こんなことは今までなかった。これまでの野放しの環境汚染への怒りであろうが、背景に今までものごとを勝手に進めてきた独裁権力への反感が透けて見える。
  今年になって、広州市では、週刊紙「南方週末」の記事が当局の指示で削除、差し替えられた問題で、同紙記者の一部が七日、抗議のストライキを始めた。共産党宣伝部によって厳しく管理される中国メディアが、当局側と激しく対立するのは極めて異例。広州市にある同紙本社ビル周辺には市民数百人が集まり、「言論の自由を」と書いた紙などを手に、同紙を支持している。これが更に拡大する様相を帯びてきたが、当然当局は黙認するわけもない。命がけの抗議だが余程これまでの検閲が腹に据えかねているということだろう。内実はアプリオリの権力独占への根本的な異議申し立てなのだ。 
  何らかの抗議活動は全土で一年に18万件起きているというが、最近はこの件数発表を止めてしまった。中国の社会で大きな地辷りが起きている。しかし、この政権にとって思想や信条の自由化などそもそもあり得ない。それは彼等にとって権力の座から転落を意味するからだ。天安門事件では、権力が危うくなった時、人民解放軍を使って銃口を国民に向けることを見せつけた。事件再来は彼等の繰り返したくない悪夢だが、やるときはやるのだろう。

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